北海道小豆の作付面積拡大を要請
本年度に入り、小豆の価格高騰については、既に我々業界内では周知の事と思います。
原因は昨年平成30年度産が、低温と長雨の影響で不作に終ったことに加えて、28年度の複数回到来した台風による大不作で、過年度繰越在庫の兼ね合いで価格が決定する小豆の性格上、順調に積み上がっていた在庫が枯渇常態になっている事にあります。
もう一つ重要な課題として、生産者の小豆離れがあります。小豆の栽培は他の豆類と比較して手間が掛かる上、極端な気温変動や台風等の水害に弱いため、リスクの高い小豆より、丈夫であまり手が掛からなく、何より外国産との競争に対抗するための補助金が出る「大豆」に鞍替えする生産者が近年多くなってきています。
農水省のデータによると、全国の小豆生産では作付面積の8割、収穫量の9割が北海道に集中しており、その大半を占めている「北海道十勝小豆」はその名称とともに、和菓子の餡をつくる上で欠かせないトップブランドでもあり、今回の価格高騰もさることながら今年度の収穫量によっては、確保さえ困難になることも予想されます。
このような状況を鑑み、北海道菓子工業組合では1月11日に同組合・長沼理事長、久木専務理事、㈱川西製餡所から川西社長の3名が北海道庁に赴き、梶田農政部長に要請書を手渡し、作付面積の拡大と小豆生産者に対する補助制度の導入を国に要望することを求めた。
また2月21日には、北海道赤レンガ庁舎会議室において、同組合より長沼理事長を筆頭に6名、北海道からは梶田農政部長をはじめ農政部職員6名、ホクレン農業協同組合連合会からは小林農産部長を含め3名の計15名で「北海道小豆の安定的な生産と供給に関する意見交換会」を開催し、それぞれの立場で小豆の安定生産・安定供給・安定在庫・安定需要について活発な話し合いが行われ、会議の最後には同組合から、22年より義務化される「加工食品の原料原産地表示」を見据え、将来に渡って北海道産の小豆を使用した菓子であることを明記し続けたいと締めくくった。
今後も北海道小豆の課題については、中長期的なスパンにはなるが、安定供給・安定価格を目指し取り組んでいきたい。
北海道菓子工業組合副理事長・若杉充宏