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歴史に刻め、博多水無月!

コロナ禍でも売上げ記録更新

博多水無月の販売風景 あれもダメ、これもダメ。

 如何に人を集めるか、そして集めた人達に如何に購入してもらうか?

 私達の日常では多くはそのことにフォーカスしていた。

 コロナウイルス感染症拡大防止対策で身動きが取れなくなった経済は、それまでの日常を否定することから始まった。

 百貨店では試食やPR、SNSやメディアタイアップを如何にするかが競われ、我々も疑わなかった。しかしそのどれもが「ダメ」な時が来た。

 1999年に始まった福岡市和菓子組合の有志で作った研究会は商標登録「博多水無月」をどう打ち出すか、ぎりぎりまで迷った。「デパート催事に出て、もし感染したら自社の存続にかかわる」そんな声が聞こえ、研究会も今までのような一枚岩になれなかったのも事実。

 催事の契約を破棄して個店の存続を守ることも選択肢の優先順位では高かった。

 福岡博多には大きな夏祭り「博多祇園山笠」があり、夏の象徴で年間70万人もが訪れる大きなイベントだ。しかし、3月末には延期がささやかれ、実際来年に持ち越しとなった。

博多水無月の販売風景 私たちの博多水無月はその夏を待つ「邪気払いをして滋養を付けて祇園山笠を迎える」プロローグであり、文化の片隅に存在させていくつもりで作り上げた。

 邪気払いの歴史を持つ「水無月」を「厄除招福」という今年のテーマに置き換えてチラシを作り、毎年祈願と奉納をさせていただく一ノ宮住吉神社で祈願祭をして勢いを頂いた。

 「私たちは食(商品)を作ったのではなく、食文化を作ろうとしているのだ!」

 今年、福岡エリアと博多エリアで2回開催をした「博多水無月共同催事」は前年比107%と113%という売り上げレコードを出した。百貨店は営業時間短縮で昨年の80%の営業時間。また、どちらの百貨店も全体では昨年比60%~65%の中での前年比越え!

 バイヤーさんから「やり方でお客様が来ること(購入していただけること)が判りました!博多水無月催事で活気が戻ってきて、他のプロパーも大きな刺激になりました」と言われたときに催事決行が報われた気がした。

 小さな店舗が力を合わせ、一つののぼりを旗印しに期間限定販売と共同催事。自己を守るために優先した業界の浮上の為の行動。

 21年前、福岡の和菓子屋がより良い戦いができるように業界のフィールド(グランド)作りから始めた研究会の道のりは、苦境の今こそ、その真価を見出され、一筋の光を放ったように思う。

 歴史に残るためには「いつ」は重要である。歴史に出てくる「大化の改新」は皆が645年と覚えているし、「明治維新」は1868年と試験にも出る。1192年「鎌倉幕府」も人の記憶に刻まれている。始まりがいつか分からぬものよりもはっきりした年号がある方が人の心には留まる。

 私達は100年後「1999年に博多水無月ができたんだって」と人々の記憶と味覚に残すつもりでこれからも作り続ける。

 福岡市和菓子組合理事長・松本弘樹

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