和菓作り体験についてコロナ禍でも取り組みたい活動
10月12日(月)5年生26名が参加し、5名の和菓子職人の方々にお世話になり和菓子作り体験が行われた。本校では、11年目の取組である。ただ、今年は、コロナ禍により、学校が5月まで休校となり、その遅れを取り戻すため、授業時数を増やし、行事の削減をする事態となった。この和菓子作り体験も削減の検討の一つであった。
しかし、本校の本年度教育方針として、コロナ禍においてでも、子どもたちの生きる力を育むためには、できることは可能な限りやっていくということとなった。その中で、今回の和菓子作り体験は、是非とも取り組みたい活動であった。そのために、手洗い・消毒の徹底、作ったものは自分で食べる、より広い部屋での活動など、感染拡大防止対策を青年部のみなさまと協議し、実施に至った。ここでは、体験を行う意義と当日の子どもの様子について、2点、伝えてさせていただく。
1点目は、憧れをもつことである。子どもたちにとって、身近な大人の影響力が大きく、人生を左右することもある。和菓子職人のみなさまの技術を身近に見る機会は貴重である。職人のみなさまが作っている様子を、子どもたちはキラキラした表情で見いっていた。そして、出来上がった和菓子を見ると大歓声。すごい。きれい。作ってみたい。実際に作ってみると、その難しさに悪戦苦闘。一生懸命自分で作った和菓子を見たときの達成感は、なかなか経験できるものではない。その和菓子を大切に持ち帰り、家族にふるまったようである。保護者の方々から、おいしかったと感謝の声が多数寄せられた。子どもたちは、一つのことを極めることの素晴らしさに気づき、憧れを抱くことで、今後の人生の大きな糧となるだろう。
2点目は、文化への敬愛である。日本・京都に住む子どもたちにとって、和菓子は日常に溶け込む文化の一つである。ただ、その奥深さには気づいていない。青年部のみなさまの講義で、歴史を知り、和菓子は季節感を大切にされてきたことを子どもたちは学んだ。その学びを生かし、自分たちでデザインをする際には、季節感を第一にする。奥深さを学んだ子どもたちは、日本の文化への敬愛を抱き、和菓子を通して季節を感じることだろう。
今後、子どもたちは、和菓子をデザインし、販売することとなる。まずは、一人ひとり季節感を大切にした和菓子をデザインする。その中から2つにしぼり、今年度の和菓子が決定する。次に、架空のお店を立ち上げ、店長・販売担当など役割を決める。どんな宣伝をしようか、どんな広告をつくろうか、利益がでるようにするには何円で売ればよいのかなど、子どもたちで考えていく。
自分たちで考えた和菓子を、自分たちで立ち上げたお店で、12月販売することとなる。どんな和菓子になるのか、どんなお店になるのか、そして完売できるのか、楽しみである。
物を作ることや売ることの大変さを感じる中で、販売し終わった後の充実感は、子どもの成長の糧となる。最後になりましたが、このような学習の機会を与えてくださった青年部のみなさまに、感謝申しあげます。ありがとうございました。
京都市立養正小学校教頭・木村憲章