各地の菓子店探訪
愛知県菓子店の投稿

㈱マッターホーン

シンプルでバランス良い菓子作りを

マッターホーン 今回は愛知県東の玄関口、新幹線が停まり県内で唯一「路面電車」が走る、「カレーうどん」でも最近評判な豊橋市で、当愛知県菓子工業合副理事長で洋菓子部会長の河合秀矩氏が代表取締役社長として経営される㈱「マッターホーン」さんをご紹介します。

 昭和49年創業で、あと数年で50周年を迎えられ、社員20名、パート・アルバイト10数名で、本店ともう一店舗を展開されています。

 ショーケースには、社長様のどんな駆け出しの職人が作っても満足した水準を保つ為にシンプルなデザインで、おいしい材料を使ってバランスのよいものを作るという理念で製造された生菓子が、200〜300円代の価格で30種以上並んでいます。

 特に、創業当時からののスポンジと生クリームのバランスが大切な、店名を冠した「マッターホーン」、バタークリームを使用した「ダミエ」「ロールケーキ」が売れ筋で、新鮮さを求め早朝から工場を稼働して一から作られています。

 焼菓子も20種以上、今でも乾燥剤や脱酸素剤を使っていないので、品質保持に気を配り短い賞味期限で回転良く販売されています。

河合秀矩社長と矩紹専務 そして、目を引いたのは、社長様が担当するチョコレートで、一粒130円という低価格ながらクオリティが高く、数多くの種類でショーケースを華やかに飾っていました。

 すばらしい商品ラインナップでしたが、案内して頂いた専務の矩紹さんに今後の商品作りの抱負をうかがうと、「製造スタイルや味を守りながら、若いお客様を取り込めるような挑戦や調整を続けて行きたい」との事でした。

 お店や工場を拝見した後に社長にお話を伺いました。やはり、まずなぜお巣子屋になられたかをお聞きすると、笑って「頭の構造の違いを感じたんだよ」とおっしゃったのですが、県下有数の進学校に在学中そう感じられたそうで、他の多くの優秀な生徒たちに対抗するにはどうするべきかずっと考えていた頃、菓子製造の親戚が「河合家五兄弟、一人位手に職をつけるものがいてもいいのでは?」と助言があり、同時に東京・目黒の「マッターホーン」を紹介され、御両親とは違う職種の菓子屋の道に入られました。

 修業中は、早く一人前にとの思いで、部署のローテーションを早くするように交渉されたりして、4年後には「箔をつけにだよ」とおっしゃった2年半のスイスでの修行後創業されました。

 店名は、あれこれ考えていた時に友人の勧めで、修業先の名前をつけることを相談したところ、人柄を見込まれて二つ返事で許可され、「マッターホーン」が誕生したとの事でした。

 傍目には順風満帆に見えるお店にも、やはり苦難の時期もあったようで、平成8年に目と鼻の先にあった三河地方有数の市民病院が後転した際には、見舞いの品だけでなくそこに勤務する多くの職員の市場がなくなり、元に戻るまでに何年もかかり大変だったそうです。

 最後に、これまでの経験と実績を踏まえアドバイスをお願いすると、「物事に対して自分の器量を推し量り、早く自分のセールスポイントを見つけなさい。そしてそれを持って物事に立ち向かいなさい。人脈、情報、時も大事ですが、それには運という要素も大事にしなさい」と貴重な言葉を頂きました。

 愛知県菓子工業組合・青山弘幸

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