御菓子処 大次郎
和菓子と共に
福井県高浜町で和菓子屋を営んでおります御菓子処大次郎です。若狭湾沿いの古街道で暖簾を掲げて116年、明治38年の創業以来四代にわたって、この高浜で家伝の「六方焼」を中心に四季折々のお菓子を作り続けております。この地で商売を始めたのは、ここが若狭富士と呼ばれる霊峰青葉山の麓に位置し、「青の水」と呼ばれるミネラルを程よく含んだ美味しい地下水が湧き出た為と聞いております。小豆は北海道十勝産の「雅」のみを使用し、受け継がれた昔ながらの製法で手間隙かけてこだわりの餡を毎日炊いております。
創業当時からの人気商品が「六方焼」です。砂糖と卵と小麦粉を練った生地に優しい甘さに炊き上げたこし餡を包み、六面を鉄板できつね色に焼き上げた商品です。一つ一つ職人の手仕事によって焼き上げる為、かなりの作業時間を要しますが、その分量産が難しく大手菓子メーカーが作りづらいといった利点もあります。素朴なお菓子ですが、味わいはどこか懐かしさと親しみがあり、ほっと一息できる和みの菓子に仕上がっております。
去年突如始まった新型コロナウイルスの影響ですべての流れが大きく変わりました。今までの普通が普通でなくなり、冠婚葬祭、イベント等の注文が激減しました。しかし前向きに考えると日本の人口が減ったわけではありません。お客様がお菓子を手に入れる方法が今までと変わったと考える事もできます。店としてなんとか生き残っていくために、現在のビジネスモデルをもう一度見つめ直して、少しずつこの大きな変化に対応していきたいと思っております。
初代当主からの味と思いを大切に守り引き継ぎながら、四代目として任された自分の新たな感性を取り入れて、「シンプルだけど美味しい和菓子」をモットーに、この素晴らしい和菓子文化を後世に伝えていきたいです。
福井県菓子工業組合㈱大次郎・代表取締役・髙橋厚至