合資会社 伏繁商店
材料と技を引き合わせる懸け橋に
今回ご紹介する会社は、愛知県名古屋市中川区に居を構える「合資会社 伏繁商店」様です。明治元年(1868年)創業の和菓子製造には欠かすことのできない道明寺・寒梅粉・白煎・おこし種・もち精白米・うるち精白米を手掛ける材料メーカーです。
お話を、6代目である鬼頭茂仁社長にお伺いいたしました。
~創業当時のお話をお聞かせください~
その当時、もち米は今のように冷蔵設備がしっかりしたものではなく日持ちも悪く虫がつき扱いにくいものでした。それを初代は味甚粉加工し流通させることを行ったと伝え聞いています。
現在、弊社のある地域には当時は多くの同じような生業の業種があり、「イラ粉屋」と呼ばれ近隣の菓子業の方々に大変かわいがられてきましたが時代の流れとともに軒数も減り今では戦前から商いをおこなっているのはうちともう1軒くらいになってしまいました。
愛知県で1番大きな都市、名古屋には当時多くの菓子屋や菓子卸を生業とした会社がひしめくようにありましたがそれも時代の流れとともに減少している状況です。
~全国的にもよくある現状ですね。そんな中なにか取り組まれていることはございますか?~
材料を作ることはもちろんですがそれを多くの方に伝えていけたらなという思いから様々な団体にもお声がけや自ら参加もし弊社材料の可能性を広げようとしています。
愛知県菓子工業組合員で高校時代の同級生でもある「大黒屋本店」の柘植千晴氏に材料を紹介し共に開発した「生落雁 加加阿」は生落雁にカカオニブを織り込んだ変わり種の落雁。ただ変わっているというだけでなく材料のエキスパートとして提案し職人としての力量も豊富な柘植氏の力を十分に引き出したお菓子となっています。よい材料とよい技を引き合わせる懸け橋のような存在になろうと心がけています。
~大変意義のあるお仕事だと思います。鬼頭社長の今後の展望をお聞かせください~
本来であれば海外にも販路をという思いもあるのですがコロナ禍でしばらくは難しいと思います。そんな状況ですが、国内に目を向けてみますと和菓子だけではなく洋菓子にもお米のパフなど利用していただく需要があり、また菓子業だけでなく弊社扱いの道明寺等の材料は飲食店にも可能性があるなと「ちまきグランプリ」という中華ちまきを競う大会に協力し中華の分野にも需要があることを知りました。
また、道明寺は古来より保存性も高い材料ですので防災の分野でもなにか活用していただければと考えています。
我が我がというわけではなく自らが懸け橋となり業界発展をと願う鬼頭社長の志に感銘したよい時間となりました。鬼頭社長の今後の活躍に期待したいと思います。
全菓連青年部部長兼中部ブロック長・岡本伸治