川尻町「お菓子ふれあい絵巻2022」
コロナ禍でも伝統の灯を消したくない
川尻町は熊本市の南に位置する、室町時代末期からの歴史を誇る刃物製造や桶の製造、赤酒や焼酎の醸造といった伝統産業が現在も継承されている、歴史と伝統文化が息づく職人町です。
くまもと工芸会館は、平成3年に開館した熊本市川尻のまちづくりの観光スポットで熊本県の伝統工芸の実演と体験に特化した施設でもあり、伝統工芸普及のために工芸逸品の展示販売と各種工芸教室が実施されています。
くまもと工芸会館で令和4年2月2日(水)~3月13日(日)に「2022かわしり春ものがたり」というイベントが開催されました。
その一環で2月5日・6日には開懐世利(かわせり)六菓匠による「お菓子ふれあい絵巻」として和菓子づくりの実演・販売が開催されました。
開懐世利六菓匠とは川尻町で、平成2年に、6軒の和菓子店が、本来ライバル同士であるにも関わらず手を結び和菓子と町おこしを結びつけた活動を行っているグループで、その名前は県内外に知られています。くまもと工芸会館でも「お菓子ふれあい工房」というイベントを30年続けてきました。途中熊本地震で会館が使えなかった際にも会場を移して開催していましたが、昨年はコロナ禍により止む無く中止となりました。
今年はこの時期熊本県では蔓延防止措置が適用されておりましたが、30年続いてきた歴史ある「お菓子ふれあい工房」の灯を消したくないという思いで、規模を縮小して開催しました。イベント当日は、コロナウイルス感染症が増加し外出自粛のため来場者は少なかったですが、アクリル板を設置するなど十分な感染対策がされており、例年のように間近で見てもらいお客さんとの会話を楽しむ事はできませんでしたが、来場者は職人の華麗な手さばきで完成する上生菓子実演に静かに見入っていました。例年満席となる翌週開催予定の「和菓子づくりの体験教室」は中止になりました。来年こそは通常開催でお客さんとのリアルなふれあいを期待したいです。
熊本県菓子工業組合事務局・野田尚美