餅文総本店
名古屋のういろの元祖
今回ご紹介いたしますお店は餅文総本店さんです。創業万治二年(1659)の老舗中の老舗で、餅文と言えば名古屋のういろ(外郎)の元祖であり、古くからういろの歴史を刻んできた名店です。名古屋市港区にある本店に入ると広々とした店内に整然と、ういろをはじめとした和菓子が並び、金箔貼った右横書きのひと際立派な看板が目に飛び込んできます。現在、直営店は四店舗、他にもキヨスクや百貨店、空港など幅広く展開しており、名古屋土産の定番として幅広く支持されています。
代表取締役の鈴木泰広氏にお話を伺いました。
(記者)餅文さんの歴史について教えてください。
「創業は万治二年です。戦前は現在でいう中区の袋町、いわゆる城下町にあったと聞いております」
(記者)ご自身で何代目にあたられるのですか?
「私で16代目になります。私自身大学を卒業してから東京の千歳船橋の東宮で修業をさせていただきました。今はそこで習った事や経験を仕事に活かしています」
(記者)商品構成をお聞かせください。
「ういろが主力で、昔ながらの棹タイプの物、一口タイプのういろや、他にも生菓子・焼き菓子など幅広く揃えております。価格設定に関しましては、手に取りやすいお値段を心がけております」
店内には色とりどりの外郎がズラリと並んでおり、銘菓の献上ういろの他に、一口ういろは抹茶や珈琲、ほうじ茶などバリエーションが豊富です。他にも一口サイズのわらびういろ、桜や蓬、マンゴーなど季節限定で四季折々の色々な味が楽しめます。また、さつま芋をつかった愛知の郷土菓子鬼まんじゅうとういろを合わせた「鬼まんういろ」といったものまであります。
(記者)お店にはどのようなお客様が来られますか?
「ご近所の方のご自宅用が多いです。家でおじいちゃん、おばあちゃんが子や孫と一緒に家族集まって召し上がっていらっしゃいます。そして子から孫へと繋がるという流れがありがたいことに生まれているように感じております。あとは帰省時に実家へのお土産、会社関係の挨拶としてのお菓子、お中元やお歳暮お年賀などなど幅広く利用していただいております」
(記者)地元の人たちにも人気なのですね
「やはり地元のお客様がメインターゲットとなります。今後は、今まで通りのサービスをお客様に提供しつつ、今まで疎かであった若年層をどうやって取り込み、足を運んでいただくかが鍵になってくると思います。簡単な試みですが、インスタやツイッターの公式アカウントを作り試行錯誤しているところです」
(記者)コロナの影響はありましたか?
「今回のコロナ禍を通じて、いかに観光客需要に頼っていたか思い知らされました。今後は、同じような状況に陥らないことを祈りながら、もし不本意にも曝された時に耐えられるプラットフォームを作っていきたいと思っています」
(記者)今後の展開をお聞かせください。
「先達たちが残してくれた、このういろ文化を継続させていくためにも、日々、新商品開発・時代に合わせた味の追求を続けていきたいですね。ういろ以外にも名古屋名物といえる商品作りを目標としています。生菓子系での試みとして、まず本店で新商品を試験的に販売して、お客様のリアクション・意見を取り入れ、改良し他店舗に展開していくことを考えています。ハードルは高いですが、地域に密着した店舗を増やす事が一番の近道だと思います」
(記者)本日はありがとうございました。餅文さんの益々のご活躍をお祈り申し上げます。
愛知県菓子工業組合・柘植千晴
店舗データ
餅文總本店
本店
〒457-0863 名古屋市南区豊2丁目36-24
TEL.052-691-5271 FAX.052-691-5273
営業時間:9時~18時 年中無休 (但し元日休)