各地の菓子店探訪
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本松製菓舗 南野店

フレッシュ感を大切に

本松製菓舗 南野店

今回は、大きな工場も在るけれど中小の工場が立ち並ぶ工業地帯でありながら、昔ながらの人情が残る下町の住宅街でもある名古屋市南区で、創業大正13年でまもなく100周年の、創業以来扱う「うす皮まんじゅう」やこの地方の菓子「鬼まんじゅう」「ういろ」等が評判の本松製菓舗さんを御紹介したいと思います。

 とは言え、本来は当組合には和菓子登録であり、和菓子を含んでご紹介しなければならないところですが、今回は洋菓子が担当の回なので特別にご了解を得て、本松製菓舗さんの「洋菓子部門」を紹介させて頂きます。

 「洋菓子部門」は、支店である南野店において、三代目川合幸代さんの娘さんで、四代目陽介さんの妹の美幸さんが製菓専門学校卒業後、数年の洋菓子店勤務の間に職業訓練校を修了された後、製造を担当されています。

 お店の洋菓子製造の歴史は古く、祖父である二代目の時にはすでに製造されていて、その祖父の工場で触れ親しんだ洋菓子(クッキーだたそうです)の楽しく、美味しかった思い出が洋菓子の道に進む原点であり、自然の流れだったそうです。

製造担当の美幸さん

 二代目の後に担当していた叔父の、50歳での早い引退を機に、2012年に南野店をリニューアルして菓子製造を引き継がれました。和菓子主体の本店には洋菓子の一部を配送し、逆に南野店には和菓子の一部を配送してもらって併売する営業形態となっています。

 華やかでおしゃれに商品が並んだケースを拝見させて頂くと、生菓子は15種類以上、ショートやロール等定番商品は300〜400円台で手頃でお求めやすいです。しかし、取材時に特に目を引いたのは、豪華なパインやメロンを器にしてフルーツを飾った「パインボウル」や「メロンバスケット」で、美幸さんとご一緒に案内して頂いた製造チーフの米原知秀さんにお話を伺うと、商品作りのモットーとしてフレッシュ感を大切にしているので、その時々の旬のおいしいフルーツを一杯使用して飾るようにしています」」との事です。加えて「逆にシンプルなプリンも最近の売れ筋です」と教えて頂きました。

 焼菓子も約8種類、和菓子の進物も含めて、周辺の多くの企業・工場の贈答品としてのニーズがとても高いそうです。

 美幸さんが洋菓子製造を引き継いで約10年、製造上の悩み・困り事をお聞きすると、「失敗はいっぱいありますが、自店の都合で勤務期間が短かかったのに製造を引き継いだので、全般的に経験不足が問題です」と、経験不足による製品の状況判断の難しさや応用力不足、レシピの少なさも挙げられたのですが、自ら情報を収集して試行錯誤すると共に、今年度からは以前終了された職業訓練校の運営委員として運営に参加し、助手として実習をサポートする際には新しく学んだり学び直しをしたり、多くの経験豊富な講師陣に日々の様々な疑問や問題点を直接質問し、アドバイスを受ける事により経験不足の解消に向かう努力をされています。

 また、「少人数で洋菓子製造をしているので忙しく、色々な試作をしている時間がない」ことが目下の悩みだそうです。

 本当にお忙しい中、色々お話しを頂き有り難うございました。「洋菓子部門」だけでなく、和菓子を含めた本松製菓舗様の益々のご発展を心よりお祈りいたしております。

 愛知県菓子工業組合・青山弘幸

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