各地の菓子店探訪
岡山県菓子店の投稿

シキシマドウノカフェ「しぼりたてモンブラン」

事業継承を夢とともに

平井店開店(2020年12月) 竹久夢二本舗敷島堂株式会社 創業70周年記念式典にて、代表取締役社長就任 眞殿昌宏氏(3代目)に直営店「平井店」の移転オープンについて語っていただいた。

 平井店は2020年12月に少し北に移転オープン、翌年1月、和洋菓子店にモンブランを目の前でしぼり出し、直営店の「朝づくり商品」よりさらに出来立てを味わえるカフェを併設。
 大学卒業後、東京の洋菓子店に勤めた後、フランスで洋菓子を極めるために単身渡仏、修行したい洋菓子店へ飛び込み交渉!言葉の壁があり何軒も断られたが気迫と腕で雇ってくれる店を見つけ1年半働いた、日本に帰っても京都の洋菓子店に勤務、2015年1月岡山に帰る。

特注のしぼり機 渡仏以前の海外語学留学中に、大好きだった祖母を亡くしたことを帰国後に知った。自分はまだ何の恩返しも出来ていない、家族や店で働いてくれる人のお陰で自分は育ち学べている、店を継ぎ、亡き祖母に一生懸命の姿をみせたい、好きなことは「ものづくり」、人に喜んでもらえること、菓子作りで事業を継承することは家族も喜ぶこと。はっきりと目標が決まった時だった。

 2018年1月35才で社長就任後、コロナ禍に入ったある日インスタグラムで見たモンブランを食べたいのに、コロナで県外に行くこともできない、こんな心が踊るケーキを地元岡山の人も食べたいのではないか!自分が作るなら絶対にどこよりもおいしいモンブランをつくって、人々の笑顔を増やしたい!と思い、「美味しいモンブラン」の製造に向けて、産地品種の違う数十種の栗を食べ比べ、これだと思う1種をペースト用に選び、絞り出しにはパスタ用の機械を特注で1㎜を絞り出せるように鉄工所に改良を依頼、国産和栗を使用した「しぼりたてモンブラン純生」が看板メニューとして決定。

 カフェは先代の夢でしたが自社の商品力では成し得なかった事業。新店舗開店は先代の知識と経験を学ぶ事業継承となり土地選びから、店舗の設計や建築資材など相談しながらしぼりたてモンブランオープンさせた。行列ができる店となりモンブランも季節ごとに期間限定で新商品を提供している。

 商品開発は、自分たち・お客様・時代が求めるものを、喜んでもらえる菓子をずっと作り続ける。今後はと聞くと、ワクワクする構想を語る。作り手にも商品にも食べる人の心に響くストーリーがある。

 邑久総本店の前には稲がとてもきれいに実っている。キラキラした社長に会えて楽しかった、感動した、彼はこの土地も人も好きなのだと思う。

 岡山県菓子工業組合事務局・谷野美香