各地の菓子店探訪
岡山県菓子店の投稿

廣榮堂中納言本店

未来を共創する

 安政3年(1856)岡山市中納言にて創業、古くからあった黍団子をお茶席にも向く新しいお菓子として改良したのが現在の「きびだんご」の始まり。

 廣榮堂の創業の地である中納言本店は2019年12月に建て替えリニューアルオープンしました。販売のみだった店舗は機能をカフェと工房に加え、社員が発想を豊かにして商品開発ができるように「koeido food design labo」を備えました。

店内風景 電車筋から見ると、暖簾と看板に老舗の歴史を漂わせる。店内に入ると全て木組みでくぎを一切使わない木のぬくもりを感じられます。漆喰の商品陳列棚には土産物をはじめ、和菓子屋の本店として四季折々の和菓子が並びます。

ひねもす御膳 カフェ「茶房ひねもす」では野菜ソムリエに監修を受け、季節の野菜を中心としたランチメニュー「ひねもす御膳」を月替わりで提供しています。甘味はぜんざいや焼き立て調布などをコーヒーやお茶とともにいただけます。ホットケーキ風どら焼きは黄ニラ大使の植田氏がパクチー畑で採取した希少な蜂蜜をたっぷりとかけていただきます。

 2階にも新たな機能として、洋風茶室やギャラリースペースがありそこでは「障がい者レンタルアート展」などのイベントを実施した。

ホットケーキ風どら焼き これからの新しい取り組みは廣榮堂1社では完結させず、様々な企業や農家さんとも共創(一緒に新しい価値を作っていく)しながら、地域と共に豊に生きていく。「歴史ではない、つくっているのは和菓子の未来です。」中納言本店について社長室室長の小西祐貴氏に伺いました。

 老舗の伝統を守りつつ、和菓子を通じて持続可能な生産消費を共に考え、発信する社員の志に感銘を受けました。

 岡山県菓子工業組合事務局・谷野美香