京都市立養正小学校にて菓子教室を開催
2022年10月19日、京都府菓子工業組合青年部は協賛のもと京都市立養正小学校にて菓子教室を開催し、同小の木村憲章教頭より当日の様子を寄稿いただきました。以下同文。
和菓子作り体験について
『「なぜ京都は、洋菓子店よりも和菓子店が多いのだろうか」という課題から始まる5年生の学習が今年もスタートした。その秘密をさぐるため、京都府菓子工業組合青年部のみなさまによる和菓子作り体験を10月19日行った。今年で13年目となり、毎年継続して行っている大切な学習である。毎年というのが一つのポイントである。コロナ禍の3年、他校では、様々な教育活動が制限される中、青年部のみなさまがご理解いただき、この和菓子作り体験を行うことができた。子どもたちにとって、大きな学びとなり、これからの人生において、貴重な経験となった。では、その一端がわかるよう、当日の様子と体験後の子どもたちの活動の様子について伝えさせていただく。
まず、職人のみなさまによる和菓子を作ることから始まった。出来上がった和菓子の美しさに子どもたちは感動し、自然に拍手や感嘆の声が出ていた。その手際の良さ・丁寧さを間近に見ることができたのも大きい。いざ、子どもたちが実際に作ってみると、当たり前だが、同じようには作ることができない。改めて、職人のみなさまの技術に感嘆していた。と同時に尊敬のまなざしを向けていた。
次に、和菓子の歴史について、青年部の上田さんからお話があった。日本・京都に住む子どもたちにとって、和菓子は日常に溶け込む文化の1つである。といっても多くの子どもたちはそれに気づいていない。だからこそこの学習の意義がある。和菓子は季節感を大切にし、年中行事に深く関わっていることを知った。そして、人間の五感に訴えかける和菓子の奥深さを感じ取ることができた。また、職人のみなさまが日本で活躍されているだけでなく、海外に出向き、和菓子の素晴らしさを伝えていることにも驚いていた。
和菓子について学んだ子どもたちは、自分たちでデザインを考えた和菓子を販売していく。店名は、「広楽」。1日のみの開店。2種類の和菓子を販売した。「幸せだるま」と「雪椿」である。
「幸せだるま」は、食べた人に幸せが訪れてほしいという気持ちが込められただるま型の和菓子である。
「雪椿」は、冬から春にかけて咲く椿のように、冬の寒さを超え、春の訪れを楽しむ気持ちを表した和菓子である。
どちらも子どもたちが、青年部のみなさまから学んだことを、子どもたちなりに表現したものである。そのイメージを和菓子にしていただいた青年部のみなさまに感謝しかない。
和菓子作り体験は、和菓子を作って楽しむだけのものではない。和菓子の歴史、先人から受け継いだ和菓子と生活の結びつきを子どもたちは学ぶことができた。そして、和菓子を含めた伝統文化を受け継ぎ、未来へ渡していくことが大切だと考えられる子になってほしいと願っている。何より、職人のみなさまと出会ったことにより、人を尊敬したり人に憧れを抱いたりする経験を得ることができた。きっと、それが子どもたちを大きく成長することとなる。授業後、数人の子が、職人のみなさまにサインを書いてもらっていた。きっと、子たちにとって宝物になるだろう。』
私たち青年部の活動が京都の子供たちにとって貴重な経験になっていることをとても嬉しく思いますし、子供たちの真剣なまなざしは私たちにとって大きな活力になっています。
京都という土地で古くから続いてきた大切な和菓子文化を継承するため、引き続きこのような活動を継続していきたいと考えております。
京都府菓子工業組合青年部広報・市川智裕