ステップアップ HACCP
「JFS―(B)」認証取得に向けて
私共、大阪府玩菓工業協同組合では、昨年の6月に、組合事業の一環として『「JFS―(B)」認証取得に向けて』という講習会を開催した。幹部理事の提案を取り上げ、すでに取得し、運用されている組合員と認証業者様に講義を受けた。各社従業員も含め、多数の方が参加され好評であった。皆の関心の高さを改めて感じたのを覚えている。
平成30年の食品衛生法の一部改正により、原則として全ての菓子食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理の制度化が実施されたことは周知である。
但し、中小・零細企業という大枠の中にあっても、当組合を構成する組合員の多数が小規模製造事業者であり、その形態も水準も各々千差万別、とても皆が横一線でスタートなど望むべくもない。こうした実情を勘案して全国菓子工業組合連合会等が指針として示していただいた「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画の手引書」を参考にして、この制度に対応されている事業者様もかなり多いのではないかと思われる。ただ、この制度化はそもそもインバウンドの急増もあり、我が国の菓子食品等すべての安全、及び衛生管理の早急な国際基準化を企図したものであった。昨今、国内はもとより海外の取引先からの要望としてCodex水準のHACCP認証の取得が必須となりつつある現状では、単なるHACCPガイドラインに沿った自主管理のみでは心もとないのも事実である。
その点、我々が受けた「JFS―(B)」の規格取得は、コストパフォーマンスもよく要求事項が分かりやすい、我が国独自の認証システムであり、ISO××××などと比べてそれ程ハードルも高すぎず、我々小規模製造事業者としては、最も取り組みやすいものと感じた。
私事で申し訳ないが、筆者の会社でも今回の講習会を機に、工場の一部限定エリアではあるが、試しに挑戦してみた。当初は半信半疑であったが、認証業者のアドバイスと自社若手チームの尽力で、思ったほどのストレスもなく(若干の設備投資はやむなし?)この度認証取得にこぎ着けることができた。これを足掛かりに徐々にでもエリア拡大に努力していきたい。
諸兄の中で、もし現状に不足を感じておられる方があるなら、もう一押しの努力ともう二詰めの改善を加えて、成否はともかく、一段ずつでもステップアップに挑戦されてみてはいかがだろうか。
大阪府菓子工業組合副理事長・大阪府玩菓工業協同組合理事長・中野幹