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現代の名工 北川和喜氏

楽しみはお菓子の中に

北川和喜氏

 昨年11月に卓越した技能の保持者を表彰する本年度の「現代の名工」に、熊本県菓子工業組合副理事長の北川和喜氏が選ばれました。

 「北川天明堂」のある川尻町は熊本市の南に位置する、室町時代末期からの歴史を誇る刃物製造や桶の製造、赤酒や焼酎の醸造といった伝統産業が現在も継承されている、歴史と伝統文化が息づく職人町にあります。創業は約240年前、天明年間に遡り、玉名の高瀬で高瀬飴を始めました。明治に当時栄えていた川尻町に商売を移し、昭和に入り「天明堂」に改名しました。また平成19年には白藤町に2号店を開店しました。

 代表のお菓子は中がほろっと黄身餡、外は微粒のザラメをつけ焼き上げたザクッと食感の「天明饅頭」や地元の酒造メーカー瑞鷹酒造の大吟醸を含ませた芳醇な「酒かすてら」などがあります。「酒かすてら」は故三浦春馬さんの書籍「日本製」の中で紹介され『春馬さんの愛した「酒カステラ」』として、今も三浦春馬さんを偲んで全国からファンの方が訪れます。

 熊本県菓子工業組合では副理事長として常に理事長や執行部を支え、温厚で真面目な人柄は組合員や関連業者から大きな信頼を得ています。

 また全国的にも珍しい6軒の和菓子店が、本来ライバル同士であるにも関わらず手を結び活動を行っているグループ「開懐世利六菓匠」のリーダーを務め川尻町の町おこしにも貢献しています。

 現在熊本の高校の製菓コースや職業訓練短期大学で講師をつとめ、後進育成にも積極的に尽力しています。

 卓越した繊細な菓子製造の技術のみならず、そのような地域貢献や後進育成への取り組みも評価されました。

 「楽在菓中。楽しさはお菓子の中にある」楽しんで作る菓子だからこそお客様にもたのしんでもらえる。そんな思いで一つ一つの菓子作りに魂を込めています。

 「喜んでくれるお客様がいるから続けることができる。指先が動く限り現役です」と今後もたゆまぬ技の研究と昔ながらの伝統を引き継ぎながら、おいしく安心のできる、お客様の立場にたったお菓子作りを心がけて、まだまだ現場に立ち続けたいと意欲満々です。

 開懐世利六菓匠とは川尻町で、平成2年に、6軒の和菓子店が、本来ライバル同士であるにも関わらず手を結び和菓子と町おこしを結びつけた活動を行っているグループで、その名前は県内外に知られています。

 熊本県菓子工業組合事務局・野田尚美

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