各地の菓子店探訪
栃木県菓子店の投稿

草雲羊羹本舗

同業者は大切な仲間

栗むし羊かん

 創業ははっきりしませんが大正2年に私の父が菓子屋の長男として現在の地に生まれたとの記載が有りそのことから明治には菓子屋を営んでいたという事になります。足利市は昨年市政100年を迎え様々な行事を開催しその中で市内にある100年以上続いている事業所を表彰しましてその中に弊店も入らせて頂きました。

 何故羊羹専門店にと良く聞かれました。今から50年くらい前に「足利みやげ品協会」に父の代わりに出て物産展等の事業に参加したときに他の店の商品力に圧倒されました、ほとんどの店が単品で勝負しているからだと感じたのです。

舟流し羊羹

 その後ろくな準備もせずただ先代から羊羹も作っていたので羊羹専門店になると宣言しました。当然最初は思うように売れません。そんな時色々アドバイスをして下さったのが同じ菓子組合の先輩で当時のみやげ品協会や菓子工組合を代表する香雲堂本店の先代社長小泉芳朋氏です、菓子工組合の多くの先輩や同輩のお蔭で現在に至っており商品は、草雲羊羹・大納言羊羹・栗羊羹と栗むし羊かんです。原料が小豆・砂糖・寒天・栗と少ないので厳選するのも容易で現在は4代目の長男が中心となって栗むし羊かんや羊羹を作っております。

 草雲羊羹は昔から変わらず、舟に流して砂糖が浮いてくるまで数日寝かせてから切って販売します、どうも羊羹は年寄りがお茶を呑みながら食べるお菓子のイメージなので若い方にも召し上がってもらえるようにと思って作ったのが栗むし羊かんです、蒸気に直接触れない様に栗と種を茶巾絞りにしてから蒸かして仕上げますので舌触りもさらっとしていて現在は弊店で一番売れている商品です。今回小泉組合長より寄稿しろとのお話を頂き、何をテーマにと思い「同業者は大切な商売仲間」と致しました。

 栃木県菓子工業組合足利支部・有限会社草雲羊羹本舗代表取締役・海野博之