イベント開催&レポート
愛知県レポートの投稿

和菓子講習会開催

今後の和菓子業界の在り方を考える

すぐに役立つ店売りの和菓子

 愛知県菓子工業組合和菓子部会は三年ぶりとなる講習会を十一月一日(火)に行いました。

 今年度は、愛知菓子会館の建替え工事に伴い和菓子講習会としては初めて東邦ガス株式会社プロ厨房オイシス(港区)での開催となりました。また、コロナ禍での感染対策を踏まえ会場定員六十四名に対し三十二名の定員にて実施致しました。

 当日は東和会会長・東京製菓学校校長をされている梶山浩司氏をお招きし講習をしていただきました。愛菓工久村理事長のあいさつの後、講習が始まります。会場の設備も考慮しオーブンを利用した商品構成となります。学校では若手を育成、自らも日々新しいお菓子作りのアイデアを出されている先生のお話はとても興味深く考えさせられる内容でした。洋菓子と和菓子の価格差、その状況での収入の違い、近年の和栗の価格高騰についてなど今後の和菓子業界の在り方を考えさせられた受講生は多いと思います。

 最近は流行の切り替わるスピードも速く、スイーツ業界も新商品に対応する様々なアイデアが必要になっています。グルテンフリーに対応した焼き菓子もその一つ、さらに真空調理用加熱器を使った小豆の風味を際立たせたつぶあんの製造、いろいろな利用法が考えられるこの調理器の紹介にはとても魅力を感じました。

和菓子講習会

 「すぐに役立つ店売りの和菓子」として紹介された商品は4つ。「和風シュトレン」は和菓子屋さんとしては馴染みの少ないドイツの菓子パン(シュトレン)を和菓子として表現。抹茶を使いながら大納言とうぐいす豆、栗の蜜漬けを使用した商品です。澄ましバターの利用など洋菓子のノウハウも勉強になります。

 「木能実(仮称)」は小麦粉の代わりにソワ・リス(うるち米粉)を使用し、黒糖、ハチミツ、中餡にはメープルシロップを使用した焼き菓子となります。他の二品目についても澱粉損傷度を高くし極細目に仕上げた吸水性の高いウルチ粉を使用した商品など材料の特性を活かした商品となっています。

 受講生の方々はモニタに映し出される先生の手元を真剣に観察し、重要なポイントでは写真や動画を撮影するなど、とても充実した時間を過ごされたかと思います。講師である梶山浩司先生は終始穏やかな表情で助手の四名の方々と会話も交えながら講習を進め、助手の皆さんもしっかりと先生のサポートをしていました。

 今回の講習は午後十二時三十分から午後四時三十分までという今までの和菓子講習会と比べ短時間の講習となっていましたが、先生の手際のいい仕事と段取りで時間内に次々と和菓子を紹介していきます。このように決められた時間内に仕事を終了させるすべ。会社、店舗経営者は従業員の労働時間にも今は配慮する時代であることを講習中の会話の中にあったことも思い出させられました。

 愛知県菓子工業組合・岩井基裕