三重県レポートの投稿
新型コロナの終息と今後について
長い新型コロナ禍もやっと終息が見えてきた所です。今までに経験の無いことに、経営にも大きな影響があり、対応に苦慮してきた所かと思います。
外出自粛により店舗販売は激減し、追い打ちをかけるように原材料費が高騰する中いろいろな工夫をされてきた所かと思います。
現状を考えるに、ある先生の言葉を思い出します。それは個人経営の菓子屋の小売価格が安すぎるという事、特に和菓子の価格はもっと考えるべきだと力説されていました。
地方都市の田舎だから、高い価格はつけられないという理由には、じゃあ東京の高級店と比べて原材料の仕入れ価格は安いのかと言われていました。
今、菓子の原材料だけで無く、いろいろな物が値上がりし、消費者は苦しいながら仕方ないという考えになっている現状です。今こそ自分の創ったお菓子の価格について考えるときかと思います。
ギリギリ食べていければいいという考え方もあります。それでは菓子屋になりたいという若い人や後継者に魅力ある職業である、ちゃんと儲かって給料も世間並みにもらえる職業であるとアピールできないのではないでしょうか。
今、日本のいろいろな職業の中で、家族経営、小規模経営で生き残っている数少ない職業が菓子屋であります。しかし、現状を見ますと後継者が無く、自分の代で店仕舞い廃業だと言われる個人経営の店がほとんどです。
先人先輩たちの継承してきた技術や伝統を次代に繋げるためにも、自分たちの技術に自信を持って、世間からみたお菓子の価値を高めてほしいと思います。
菓銘をもつ生菓子(練切・こなし)が、登録無形文化財に指定された今こそ、自らの創るお菓子にもっと自信を持って、地域社会に提供して欲しいと考えています。
三重県菓子工業組合理事長・岡幸男