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小豆の栽培を通して

仕入れている小豆のありがたさ

 広島県の菓子工業組合では、県産小豆の活用の取り組みが進められています。藤い屋では、廿日市(はつかいち)にある自社の農場で小豆の栽培にも取り組んでおり、栽培を通してさまざまなことを学んでいます。

 広島では北海道と違い、播種を7月に行います。まず何より暑い中で作業を行わないといけないということが大変です。発芽してからの1ヶ月は、除草や土寄せ作業などを定期的に行わないといけません、それを乗り越えればあとは大きく育つのを待つばかりなのですが、それでもうまくいくとは限らないのが農業なのだということを実感しています。天候にも恵まれ、大きく育ってすごく良いと思っていたのも束の間、今度は育ちすぎてしまい鞘があまりつかないということに。小豆にとっては大きく育ち良かったのかもしれませんが、私にとっては実りが少なければこの数ヶ月が無駄になってしまい、なんとも残念な結果に。日照不足で成長が悪くてもだめ、成長が良すぎてもだめ、何事も中庸が一番なのかなと考えさせられます。うまくいかないからこそ、今年はどうしようかと試行錯誤するのも作物を育てる楽しみ方でもあるのかなと思います。うまく収穫できたとしても、そこからがまた一苦労です。広島には小豆を選別しているところがなく、島根や岡山などの他県に持って行って選別をしてもらわなければなりません。

 選別をしてもらっても品質としてはまだまだ不十分なため、最終的には手作業でよってお菓子に利用しています。とても時間と手間がかかり、大変な作業です。小豆を作ることの大変さや商品となるまでの苦労などを知り、仕入れている小豆のありがたさを実感しました。当たり前のことなのですが、大切に使わないといけないと改めて思います。今年も小豆の栽培に取り組んでいます。小豆の栽培を本格的に始めて5年が経ちました。美味しいあんこを作るために、「今年こそは」といつもと同じように気合を入れて、小豆の成長を見守っています。

 広島県菓子工業組合・株式会社藤い屋・代表取締役社長・藤井嘉人

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