各地の菓子店探訪
福岡県菓子店の投稿

畠中育雛場

卵の良さを伝えるために

畠中社長

 創業52年の採卵養鶏場である弊社が、国が推し進める農業6次産業化のハシリとして自社の鶏卵で菓子製造を始めてから25年。当初は品数も少なく、鶏卵の直売所の片隅を改造しただけの店舗でしたが、度々の改造と令和元年の増築を経て、やっと現在のような外観となりました。商品は、プリン、シュークリーム、かすてら、シフォンケーキなど、とにかく卵の良さが存分に発揮できるものに限っております。

 しかしながら、あくまでも本業は7万羽の成鶏を抱える鶏卵生産者です。毎日6万個の鶏卵を原則直売しており、その鶏卵のお取引先であった地区内の老舗製菓店の社長様からのご紹介で、7年前(平成28年)に福岡県菓子工業組合の仲間に入れていただきました。

畠中育雛場の製品

 入会したばかりの頃は、まったくの畑違いぶりに、果たして私などが仲間に入れていただいていいのか?と少し心苦しくも思いましたが、地区の先輩方は面倒見の良い、素晴らしい方ばかりで、本当にありがたい環境を与えていただけたと感謝するばかり。何しろ基礎知識もないまま、機資材屋さんの指導だけを頼りに始めた菓子製造なので、その後新商品などを開発しようとするたびに知識の無さを痛感しておりましたが、菓子工業組合に入ってからは身近な先輩方にすぐに相談することができます。これは本当にありがたいことです。

 逆に、私どもは鶏卵の専門家ですので、その知識と情報については絶対の自信があります。菓子製造のプロの方は、これまでの経験から卵についていろんなノウハウをお持ちではありますが、卵自体のことは実はあまりご存知ないのではないでしょうか?例えば、卵殻色や卵黄色の違い、はたまた卵の大きさの違いは何によるものでどのような特徴があるのか、どのようなお菓子にどの卵が向いているのかなど、お考えいただいたことはあるでしょうか?まあ実際のところは、そんなことよりコスパや生産性のために、大きなサイズの卵に注文が偏ったり、加工卵(液卵など)に転向したりされているのが現状かと思います。

畠中育雛場 本部

 しかしながら、やはり卵はシンプルにして非常にポテンシャルの高いお菓子の材料のひとつです。是非一度、その特徴などにも目を向けていただいた上で、より良い選択をしていただけると幸いです。

 昨年度の鳥インフルエンザ多発による鶏卵不足と価格高騰は製菓業界の皆様に大変なご苦労を強いたことと思いますが、今年もまた発生の怖いシーズンが近づいて来ています。絶対的な予防法もない中、鶏卵生産者も頑張って安定供給に努力しているところです。そんな時だからこそ、皆様も是非地域の鶏卵生産者と仲良くしていただき、より良いお菓子を共に作ってまいりましょう!

 福岡県菓子工業組合筑豊支部・畠中五恵子