各地の菓子店探訪
栃木県菓子店の投稿

小京都栃木

蔵と鯉のいる街

金桝屋

 栃木市は、県の南部にあり、東に筑波山、西に太平山、北に日光連山に囲まれ、市内中央に巴波川が流れる静かなたたずまいの街です。幕末から明治年間にかけ日光例幣使街道の宿場町として、また巴波川の舟運により商人の町として賑わい、見世蔵や土蔵が軒を連ね政治、経済、文化の中心として栄えた商都であり、商人の町の姿を今でも残しています。

「菓子商免許鑑札」「菓子小売営業免許鑑札」

 当店・金桝屋では、明治九年の「菓子商免許鑑札」及び、明治二十四年「菓子小売営業免許鑑札」と言う左上の用な鑑札がございます。

 その頃は、駄菓子(干菓子)の製造を営んでおり、駄菓子というと、何となく都会に対する田舎、すなわち駄菓子という呼び方のおこった江戸時代を考えれば、京、大阪などのいわゆる上方に対して、江戸を含めて坂東もそうであったろうし、また江戸に対する地方の町や宿場も含めた農村というような感じで上品、雅に対する素朴というような感じにとれる。

 現在当店では、先祖から受け継いている、かりんとう、御家宝、羊羹、志ほがまはもちろん長男(九代目)も家業を継ぎ、近年では生菓子の他にスイーツ系の菓子(季節による異なる菓子)も製造する様になり年代を問わず客層も変ってきた様な感じが致します。

先祖から受け継いているかりんとう

 しかし近年人口の減少に伴い菓子の需要が減り難しい世の中になっていくのではないかと考えております。

 またこの数年の間に、HACCP、マイナンバーカード、インボイスの普及により世の中の仕組みが大きく変わりつつあります。製造する者の責任として、特に「HACCP」に沿った衛生管理の見える化を進めこれからもお客様に喜ばれる菓子作りに精進して参りたいと思います。

 栃木県菓子工業組合理事・増山利夫