各地の菓子店探訪
鳥取県菓子店の投稿

鳥取市 みどりや

事業承継

貝がら節もなか

 鳥取市浜村の「みどりや」さんを訪ねました。1922年創業で、約100年の歴史があり、現社長の長秀則さんが4代目です。

 長さんの息子さんは洋菓子を勉強して帰ってこられて、独立して洋菓子店をされています。長さんは体力の限界もあり、去年いっぱいで「みどりや」さんを廃業しようとされていました。そのことを聞き、鳥取県内の板見製餡所で働いておられて、「みどりや」さんのすぐ近くにお家がある山崎晃裕さんが、「みどりや」さんを残したいと思い、長さんにその思いを伝えたそうです。長さんに了承された山崎さんは、11月末で板見製餡所を退職され、現在は「みどりや」さんで、お菓子の修業中です。

あずきのつぶ、生姜、柚子の三種類

 現店舗は4月末で閉店し、5月頃、新しい店舗で山崎さんが営業を開始される予定です。現在の「みどりや」さんの商品の中で、あずきのつぶと、鳥取市日光の生姜、柚子、の三種類の餡の、貝がら節もなか、そして鮎もなかと白兎ジンジャーもなかの5種類のもなかを新しい店舗でも販売する予定です。貝がら節もなかは、鳥取市の浜村海岸で昔、漁師たちが作業しながら唄っていたといわれる民謡「貝殻節」にちなんでいます。山崎さんは、見た目も良いものを作り、店の味を伝えて残していかないといけないと考えていらっしゃいます。家族の後押しがあり、息子さんも高校を卒業したら手伝うと言ってくれているそうです。

長さん(左)と山崎さん(右)

 山崎さん自身、以前鳥取市の内藤製餡所で働いていらっしゃいましたが、その時分より後継者が無く閉店していく事やその地域が寂しくなって行く様を見て、小さい頃お世話になった街に恩返しがしたいと一念発起されました。現在のお店で餡を炊いておられる従業員の方が新店舗でも働いてくださるそうで、餡の味が変わらないのは非常に大きなことだと思いました。山崎さんは、勢いと気持ちがあり、やる気満々で向かっていると現社長の長さんがおっしゃっていて、非常に頼もしく感じました。

 菓子屋は後継者不足のお店が多く、菓子屋を残そうとして51歳で大きな決断をされた山崎さんとともに、お菓子業界を盛り上げていきたいと思います。

 全菓連青年部・中四国ブロック長・小谷直大