菓子処 寿々屋
今の日常に感謝する
今回は大阪府東大阪市の和菓子店㈱寿々屋さんを訪ねて参りました。
こちらは1952年(昭和27年)創業で、今年72年目を迎えます。
四代目となります網濱康博さん(47歳)は32歳で父の跡を継ぎ社長に就任し、今年度大阪府生菓子青年クラブの幹事長を務めておられます。
スタッフは社員4名、パート13名の17名体制で、東大阪市内にて4店舗を営業。
店名「寿々屋」の由来を尋ねたところ「占いで決めた」とのこと。そういう決め方もあるのかと少し驚きましたが、4代に渡って繁盛店として継続されていることこそが間違いではなかったことを証明している。
子どもの頃の夢はコックか画家になることで、高校を卒業するまではその夢を持ち続けていたが、進路を決める際に父と二人で話合い、父から「一緒にやって欲しい」と言われ、小さいころから手伝いをしていた和菓子の道へ進むこととなった。
当時、大阪には和菓子専門コースの専門学校がなかったことと、東京に一度住んでみたかったこと、そして父の勧めもあり東京製菓学校への入学を決断。2年間菓子づくりの基礎をしっかり学び、卒業後は東京の和菓子店で3年、大阪の2軒の和菓子店で2年、合計5年の修業を終え寿々屋に入社。
代表銘菓は「いちご大福」と「山菜おこわ」。いちご大福は1日500~600個を販売するが、正月の新年5日までは1日に4,000個を販売するとのこと。その日は朝から晩までいちご大福だけを製造し続けるという本当に看板商品にふさわしい忙しさ。また山菜おこわも神社近くに店を構えていることもあり、平日は20㎏、土日となると40㎏を作るという。
網濱氏は朝4時半には出社し菓子をつくる。注文があり早い時には朝2時から働くことも。菓子をたくさん作れることはありがたいことですが、体だけは壊さないよう祈るばかりです。
お店の強みを聞いたところ、立地の良さと商品アイテムが多いこと。その商品も生産性の高い商品が多いとのことで、効率の良い経営をされていることがうかがえた。またお客様からの配達希望も全て受け入れ、配送要員もしっかりと充実させている。
網濱氏自身のこともいろいろと聞かせていただきました。
・自身の強みは?
メンタルが強く、へこまず前向きなところ。和菓子団体のトップを務めるには大切なこと。今年の一年の活躍が期待されます。
・趣味は?
写真、映画鑑賞、水泳、バイク、旅行、スキー、タイビング。本当に幅広く多趣味で、将来は家族と一緒にいろいろと楽しめたら嬉しいと語る。年中無休で多忙な毎日ではありますが時間をうまく使っていることがうかがえます。
・大切にしていることは?
いろんな事柄について常に感謝の念を抱くこと。そして物事に流されず、常に少しずつでも前進できるように意識している。
・今取り組んでいることは?
健康維持と子育て。そして会社に関わる人みんなが幸せになるような会社をどうつくっていくかを考えている。
・今まで影響の受けた人は?
岡本太郎氏。本を読んで、できないのは当たり前でそこから考えれば良いとの思想に共感。老子氏。上善は水の如しの思想に共感。西野亮廣氏。行動や考え方に感銘。
・今まで影響の受けたことは?
高卒間近の時の阪神淡路大震災。復興支援に両親と行った時、自分の置かれている今の日常に感謝することを強く感じた。30歳の時のフィリピン旅行。スラム街へ行った際、今の自分は日本で幸せだと強く感じ、挑戦したくてもできない人がいるのだから挑戦しないと、そして何があっても頑張れるとより前向きにもなった。
・今の夢は?
家族で世界遺産を見に行きたい。和菓子だけでなく視野を広めたい。
最後に幹事長としての意気込みを聞いたところ、今までは経験から学ぶことが多かったが、これからは自分がいろんな人に貢献して、新たな学びを得ていきたい。そして将来振り返った時に、今の自分があるのはあの時幹事長をしたからだと思えるよう日々活動していきたいと優しい顔ではありながら力強く語っていただけました。
全菓連青年部近畿ブロック長・中西信治