地元でのお赤飯の風習とお菓子の未来
「いらっしゃいませ、お赤飯をご注文ですね。甘いお赤飯ですか?甘くないお赤飯ですか?」と必ず聞きます。
私の店があるのは山梨県南アルプス市です、南に富士山、北に八ヶ岳が望める甲府盆地の西になります。父と母で創業して53年を迎え私は2代目で28年ほど、妻も一緒に家族で日々15種類以上のお菓子を季節ごとに手作りし続けています。
前置きで触れましたが私の地域には甘いお赤飯と甘くないお赤飯の2種類があります。調べてみたところ甘いお赤飯は山梨県内でも地域によって違いがあり南アルプス市、甲府市、甲斐市などが甘いお赤飯の伝承地域です。私の店ではささげ豆の甘くないお赤飯と大納言小豆を1週間ほどかけて自家製のかのこにしたものをお赤飯にいれる甘いお赤飯があります。味は甘くごま塩をかけると甘じょっぱくなり地元で人気です。
お赤飯の由来は邪気を払う力と魔除けの赤色と信じられていて山梨県では50年ほど前の学校給食で青森県の方が提供したと聞いたことがあり北海道や東北地方でも甘いお赤飯が食べられているようです。
出産、初節句、入学卒業や成人式、還暦、古希や米寿など長寿のお祝いなど、人の一生にお赤飯は出番が多くかかせないものだなと感じています。私の店のお赤飯の注文の割合は「甘いお赤飯」が9割と多く「ささげ豆の甘くないお赤飯」が1割ほどです。私はささげ豆のお赤飯が好きですが…甘い豆のお赤飯は全国的にも珍しいようですが機会があれば皆様是非、甘い豆のお赤飯を食べてみてください。
これからもお菓子はさまざまに変化していき、餡子の原材料の小豆が温暖化の影響で獲れなくなり値段の高騰があります。資材も高くなり商品の値上げも考えなければなりませんが、こんな時代でも四季を感じられ安心して食べられる和菓子を毎日工夫しながらコツコツと頑張って手作りしていきたいと思っています。
山梨県菓子工合組合理事・澤登信吾