大和屋製パン工場
新事業ドーナツ店開業
大和屋製パン工場は広島県福山市内の小中学校への学校給食用パンと米飯の製造が主な事業としています。1872年(明治5年)に塩出常助が福山市府中町にて開業した和菓子製造の風馨堂大和屋をルーツとして、大和屋としてはその後、和洋菓子やパン製造へと事業展開を進めたのち、昭和26年に大和屋製パン工場として事業所開設しました。同年の福山市における小学校の完全給食開始に伴い、学校給食事業をはじめ、現在まで一貫して給食事業に関わっています。近年は給食事業に絞った展開をしばらくしていました。しかし、2020年春から日本国内のみならず世界中で流行をした新型コロナウイルス感染症では、同年3月より全国の学校が一斉休業。自動的に給食も約3ヵ月にわたり、完全に停止することとなり、弊社としても大きな打撃を受ける事態に追い込まれました。安定的な事業である一方で、このような状況に陥ることのリスクを改めて認識する機会にもなりました。また、日本においては少子化はますます進んでおり、福山市においても例外ではありません。今後、マーケットが縮小の一途を辿ることは自明となっており、新たな展開を考えていくことにも迫られています。
このような状況下において、一昨年の9月末に新事業として、ドーナツ店「Laughter Doughnuts」を開業しました。事業ドメインであるパン製造をベースにしながら、世の中の潮流も見ながら、新たなチャレンジをしています。
店舗を構えるのは福山駅から徒歩圏内のiti SETOUCHIです。こちらは1992年に開業した福山そごうの跡地です。バブル崩壊後に、福山そごうが8年ほどで早々に撤退したのち、2度の商業施設の開閉業を経て、2022年秋より新たな施設として地元の電気工事会社を運営母体にオープンしました。建物自体はバブル期の名残で豪華な地上9階地下2階の大きな施設ですが、全体的な改修等の費用やスピード再生を謳う福山市の方針から1階部分のみをリノベーションしています。いくつかのテナントのほかに、オフィスや会議室、コワーキングスペース、イベントスペースなどもあり、フロアのおよそ半分がパブリックスペースで、屋根付き公園とも言えるような一般的な商業施設とは一線を画す構成となっています。「みんなの希望をつくる場所」をコンセプトに、全国的に大型百貨店の撤退が相次ぐなかでの跡地活用の課題解決への挑戦として地元企業を中心にして取り組みを進めています。
弊社としては、先に述べたような今後の人口減少社会への課題意識と施設が目指すものが合致していると考え、ともに取り組みを進める決断をしました。広島県や福山市へお立ち寄りの際には、せひiti SETOUCHIへも足をお運びください。
広島県菓子工業組合青年部副会長・大和屋製パン工場代表・塩出喬史