各地の菓子店探訪
千葉県菓子店の投稿

江戸時代後期創業「かわちや」

女性スタッフのみで運営

かわちや銘菓 一栗

 京成線検見川駅から徒歩3分ほどのところにある和菓子店「和菓子 かわちや(河内屋)」へ訪問して、代表取締役の北本美佐子氏とお母さまからお話を伺いました。 北本氏が子供の頃、祖父と父が職人として和菓子製造をし、祖父の作業風景を見ていたそうです。祖父と若くして父が亡くなり、店の継続やたくさんの注文に対応するため、北本氏の母が30代の時に当時の職人と共にお菓子作りを始め、店を継ぐこととなりました。

 時が過ぎて、職人たちの退職を機に女性だけで和菓子を作るようになったのが今のスタイルのきっかけで、それから35年間女性スタッフだけで続けています。北本氏の母は、千葉県菓子共同高等職業訓練校に通い、製菓理論や基本的な作り方を一から学びました。訓練校では、講師の方々から話を聞き製造現場だけでは分からなかったことを学べたと話してくださいました。そしてその当時、製造・販売していた商品を見直したそうです。

 北本氏が母から店を継いだのは一昨年のこと。専業主婦から仕事をし始め、時々母の仕事をアルバイトで手伝っていた時に近所の職場にいた、ある方の助言から自然に店を継ぐことになったといいます。北本氏は一緒に働くメンバーについて「このメンバーでの仕事はいいなと思っていても辞めていくこともあり、それがとても残念で、そのあと大変になる時もあるけれど、逆に雰囲気が良くなったり、私たちの考え方も変ってくる。そしてまた新しい雰囲気になる」と話してくれました。「スタッフみんなとコミュニケーションをとり、楽しく仕事をしたい。店に関してはまだ模索中。でもやる気がなく縮小していく店にはしたくない」と強い想いを持っています。

河内屋の女性スタッフ一同

 創業は1803年、江戸時代後期の享和年間。資料などは捨ててしまったものもあり、記録を辿るのはお稲荷さんと墓誌からになりますが、和菓子屋の他に質屋や飴の製造など、商売を変えながら現在に至っています。

 代表銘菓は「検見川最中」と「一栗」。この最中餡の原料の割合は、昔から変えてないといいます。それ以外の取扱い品目は、どらやき、大福、草餅、あんみつ等です。店のすぐ近くには1100年以上続く八方除けやパワースポットとして知られている検見川神社があり、お参りにみえたお客様も多く訪れています。

 千葉県菓子工業組合常務理事・杉浦詳子