各地の菓子店探訪
石川県菓子店の投稿

加賀市山代温泉に二〇〇年羊羹あり

れん永昌堂

 まずはじめに先の能登半島地震の際、全国からの様々な手厚いご支援に石川県菓子組合青年部を代表いたしまして御礼申しあげたいと思います。誠にありがとうございます。

 さてこの度は石川県を代表する元気な羊羹屋さんのご紹介となります。

れん永昌堂

 時は200年前。旅に疲れた旅人が泊まる宿もなく困っておりました。

 あわれに思った男はその旅人を一晩泊めてあげました。

 旅人は宿を与えてくれた御礼に羊羹の作りかたを教えてくれました。

 そして製法技術は代々子孫に受け継がれ初代菓子屋源五郎が山代温泉総湯前に「れん永昌堂」の暖簾を掲げたことから時を刻み続けること200年。

 昨年度に石川県菓子組合青年部におきましてもとても精力的に活動されてる9代目主導のもとお店をリニューアルオープンされました。

 お店に到着しますとまず最初に目立つのはローマ字で大きめに書かれた「REN」の文字。

 なるほど石川県の温泉地で最も「ハイカラ」なイメージの山代の街並みにとても馴染んでおります。

 そしてもちろんございます。もはやいつから掲げてるのか分からないほど吸いも甘いも刻まれた旧き威厳を感じる木製の看板。さらには今回のリニューアルのキーワードである「二〇〇年羊羹」と記された暖簾をくぐりお店の中へと入るわけでございます。

ご主人と暖簾

 商品ラインナップは代々受け継がれブラッシュアップされてきた各種「れんの羊羹」に、加賀大聖寺藩前田家の御用菓子商を賜わることで掲げることを許されたとされる梅鉢紋「もなか」ととても絞り込まれた良い意味でとても「保守的」で個性とこだわりのあるラインナップとなっております。

 雑味のない純粋で上品な甘さと、キレの良いあっさりとした後味が、れんの羊羹。

 春夏秋冬いつでも同じ「れんの美味しさ」となるよう主人自ら日々の精進を重ねております。

 よりすぐりの北海道小豆を使っての自家製餡。砂糖は氷砂糖に高級糸寒天といった製品のこだわりはもちろんのこと、その製品をどう「魅せるか」にこだわった、とてもゆったりとした空間でお菓子がとても映える陳列が印象的で山代温泉の空気感ととてもマッチしたモダンな仕上がりのお店となっております。

 伝統を守りながらしっかり攻める「れん永昌堂」さんの今後にますます期待です。

 石川県菓子工業組合青年部部長・神保賢史