各地の菓子店探訪
東京都菓子店の投稿

地域密着から世界へ、

マルマサ製菓の挑戦と展望

主力商品のゴフレット

 マルマサ製菓は、戦後に祖父が創業し、1950年から東京足立区でお菓子作りを続けてきました。創業当初は太平焼やカルシウム煎餅なども製造していましたが、現在は香ばしい生地が特徴のゴフレットを主力商品としています。その他にも、ようかん巻やクッキーの製造も行っています。現在、製造の中心は父が担っています。

 社長である父は、コロナ禍前まで会社を畳むつもりで事業の縮小を進めていました。私はその間、日本語教師として世界中の人々に日本語を教えるため、さまざまな国を回っていました。しかし、コロナ禍で世界の状況が一変し、日本に帰国せざるを得ませんでした。父の会社はお土産品を中心にしていたため、廃業寸前の状況にありましたが、長年培った機械と技術を無駄にするのは惜しいと感じ、私がSNS活動を通じて会社を手伝い始めました。すると地元の方々からの反響があり、お菓子が美味しいと言ってもらえることが嬉しく、次第に仕事に熱中していきました。それまでなかったホームページも自作し、企業からの問い合わせが増え、少しずつ仕事が増えていく中で、やる気がさらに湧いてきました。困った時には先輩のお菓子屋さんに相談に行き、助けていただくこともありました。先輩方には非常に感謝しています。

ゴフレット、ようかん巻、クッキー

 私の強みは、海外との繋がりです。これまでに日本語教師の仕事を通じて世界中の人々と触れ合い、父のお菓子を食べてもらう機会がありました。特にゴフレットに対する反応は抜群で、生地に日本らしさを感じさせながらも、クリームが洋風のテイストを加え、食べやすいと評価されています。私は、日本の文化とともにお菓子を世界に広めたいと考えています。夏には昨年に引き続き、足立区の企業3社と共に香港のFOOD EXPOに出展しました。その展示会では、一般消費者は試食をしてから購入するのがスタンダードですが、お菓子の感想がダイレクトに分かるので、おいしいと言って買っていただけた時は非常に嬉しかったです。現地のバイヤーに試食していただく機会もあり、高い関心を持っていただけたので、手応えを感じました。

代表・原忠義さん㊧/原郁惠さん㊨

 日本のお菓子は、世界でも非常に美味しいと評価されるポテンシャルを持っています。私たちは小さな会社ですが、だからこそ日々何ができるかを考え、多くのお客様にお菓子を食べる喜びを届けたいと考えています。変化の激しい時代では簡単なことではありませんが、目の前のお客様、そして将来のお客様の笑顔を思い描きながら、お菓子作りを続けていきたいと思います。

 マルマサ製菓・原 郁惠