芦屋柳月堂玉川
創業60年の家族経営店
今回は兵庫県芦屋市の創業60年『芦屋柳月堂玉川』さんを訪問してまいりました。
店主の安達文輝さんは昭和42年生まれの二代目。
店名について聞きましたところ、祖母のお父様が福岡県にて「玉川」という名前の大きな料亭をされていたことから〝玉川〟を、そしてお父様が福岡県の柳川市出身ということで〝柳月堂〟を付せられ最初は柳月堂玉川という屋号で営業されていたとのこと。その後30歳の時に先代より事業を引継いだ際〝芦屋〟を付けそれ以降〝芦屋柳月堂玉川〟として営業されています。
神戸で生まれ育った安達さんは18歳の時に大阪の名店「住吉菓庵 喜久寿」さんで修業を始め、5年間和菓子のいろはをみっちりと学び和菓子道の礎を築かれました。その後23歳の時に先代であるお父様の元に戻り、親子二人三脚で勇往邁進されました。
事業を引き継いだ30歳の時、今まで以上に経営と共に技術を学びたいと、様々な和菓子団体へ精力的に参加され、今なお引き続き自己研鑽に励んでおられます。
常時30種類以上あるお菓子と季節菓子。「みたらし団子」や「大福」など朝生菓子の売上比率が多いが、代表銘菓はふっくら生地に刻み栗の入った瑞々しいあんこの「どら焼き」と先代が長崎で学んだという「かすてら」。取材中にもお客様が次々とご来店され、手に取っていく、まさしく看板商品。盛業ぶりがうかがえるが、新商品開発にも余念がない。講習会で学んだことをヒントにご自身流にアレンジを加え新しい商品として世に出される。経営者としても技術者としても本当に素晴らしく尊敬の念を抱きます。
また、得意の工芸菓子では全国のコンテストでもグランプリや数々の受賞歴があり、店内の陳列ケースには飾り切れないほどのトロフィーや賞状が並んでおります。若いころから作っていたと思いきや工芸菓子も上生菓子も40歳ぐらいから作り始めたとのこと。しかも工芸菓子に至っては先輩方から教わったのではなく、全て自己流とのこと。コンテスト前になると仕事が終わってから夜遅くまで、週に一度の休みも工芸菓子づくりに時間を費やす。センスもさることながら努力も重ねた結果の受賞であることに得心がいきました。
安達さんにお子様のことを聞いてみました。35歳でご結婚され四男一女のお父さん。家族経営で朝から晩まで忙しい毎日ですが、小さい頃からお子様がお手伝いをし、今でも学校が休みの時はよく手伝ってくれるとのこと。3人の息子さんは将来和菓子の道に進みたいと言っているという。お父さんのカッコいい姿を見ているのだからそう思うのも至極当然で納得です。
今後の展望としては、工場を移転拡張し現店舗と新店舗との2店舗での経営をしていければと。そして三代目の子どもたちの時代のために自分の代でしっかりと基盤づくりをし、子どもたちが仲良く楽しく仕事をし子どもたちの時代で成功して欲しいとの思いが。
お子様のことを話す時のお顔が本当に優しいお顔で、お子様をとても大切に思われていることがひしひしと伝わって参りました。
そして「毎日忙しく頑張ってくれている奥様を早くゆっくりさせてあげたい」というお子様だけでなく奥様想いの優しいお言葉も聞かせていただきました。
取材を終えた今、安達さんは技術者としても経営者としても尊敬でき、本当にあたたかいお人柄で良き先輩でより大好きになりました。
お酒好きとのこと、またご一緒に呑める日を楽しみにしております。
全菓連青年部近畿ブロック長・中西信治
店舗データ
芦屋柳月堂玉川
兵庫県芦屋市大原町9-1
営業時間:10時~19時
定 休 日:水曜日