各地の菓子店探訪
富山県菓子店の投稿

「まろやからいてふ」が優勝

和菓子店「光春」碓井光さん

BEST OF TOYAMA SWEETS とやま菓子コンテスト

 富山県菓子工業組合(渡邉克明理事長)は第4回「BEST OF TOYAMA SWEETS とやま菓子コンテスト」を行い、10月26日「とやまグルメ・フードフェス2024」テクノホール会場において結果発表、ならびに31日、富山市栄町の洋菓子店「リブラン総本店」において開催報告会を開いた。今回は、和菓子店「光春」(同市堀川小泉町)が優勝した。このコンテストは、県内の菓子店を対象に、若手職人の育成を図ろうと毎年開いているもので、今年は能登半島地震からの復興への願いを込め、大きな被災地のひとつである氷見の食材をテーマに開催した。審査は味覚、視覚、市場性、独創性の4項目で行われた。優勝した光春の職人、碓井光さんは、県鳥であるライチョウをモチーフに、可愛い表情の羽二重餅のお菓子「まろやからいてふ」を出品。ふわっふわの羽二重生地に、日本一の消費量とも言われる富山県民が好む昆布を練り込み、サツマイモと氷見産の稲積梅をベースとしたあんをふんわり包んだ作品。ふわもちっとした食感に昆布がほのかに香り、かみしめると梅の風味とさつまいもの甘味が。カリッとした小梅の一片がアクセントとなり、全体をリンゴ酢でバランスよくまとめた創作和菓子。碓井さんは「これからもさらに改良を重ね、富山を代表する菓子になってほしい。」と話した。また、同コンテストに光春からもう一つ出品された碓井千春さんの「香織まんじゅう」も審査員特別賞に選定された。こちらは、りんごのチャツネを生地に練り込んだ焼きまんじゅうで頭にミカンの羊羹がかかったもの。中は黒あん。りんごやみかんの風味を感じられる和菓子。光春は、碓井千春さんがかつて感動したねりきりの美味を追い求めて独学を重ね、2011年2月に注文和菓子屋として創業したもの。2019年には、京都の専門学校や老舗和菓子店で経験を得た娘さんの碓井光さんが合流。母娘で取り組むことで、提供できるお菓子のジャンルが和菓子のみから洋菓子や創作和菓子まで広がった。京都で今も地域に根差して息づいている注文和菓子屋のスタイルを富山で実践しようと頑張っている。

まろやからいてふ

 実は初恋すずめの兄弟として「まろやからいてふ」という名前とうめと昆布入りというのは以前からぼんやりと考えていました。

 考えてはいたもののずっと形にならずにいたらいちょうが初めて形になって人の前に出るきっかけが「BEST OF TOYAMA SWEETS とやま菓子コンテスト」でした。

 丁度今回のテーマが氷見の食材だったので作ってみるかと取り掛かったは良いものの、うめとさつまいもを合わせて甘くふわふわとしたもちで包むのは存外バランスを取るのが難しく、苦戦しました。

 うめの香りを残してさつまいもと合うようにするともちの甘さもあって甘すぎる。酸味を残してもちと合わせると狙った「甘酸っぱい」ではなくどっちつかずの「中途半端」。なんだか香りも昆布が勝ちすぎて心なしか磯臭い気もして…本当に苦戦しました。

碓井光さん

 悩みぬいたあと、直感でりんご酢を加えたのは正解でした。うめと昆布の間をフルーティーさと自然な甘みでさりげなくカバーしてくれるので、そこでやっと味にまとまりができました。

 まろまゆは初めフルーツパウダーを使用していましたが、あまりにもぽやんとしていたので赤色の羊羹に変更しました。ぽってりとしたまろまゆは少し困り眉のようで白い顔に個性と愛らしさを足してくれました。

 富山県菓子工業組合・光春 碓井光