震災から14年
福島の塩に戻る

福島県浜通りの南に位置するいわき市。古くは常磐炭鉱として栄え、現在は小名浜港やハワイアンズといった観光地で多くの人々が訪れる小名浜で2006年に当社いわきチョコレートは創業いたしました。観光地である当地で今までにない菓子のお土産を作ろうと、フランスブルターニュの塩キャラメルをチョコでコーティングした菓子をベースにして「塩」という新しい切り口からのチョコ土産を作ろうと企画いたしました。福島県では、神事用藻塩などの塩製造は当時すでになく、同じ頃、江戸時代に会津大塩温泉を煮詰めて作った会津山塩が有志で復活、試験製造で発売を始めた頃でした。魅力的な山の塩でありましたが、予算的な問題で断念。その時にいわき市に日本海水という製塩工場があることを知り、こちらに海水から作られた塩を再結晶させ岩塩のような粗塩を作ってもらうことになり、塩チョコのベースができました。いわき市政35周年記念として、市の魚「めひかり」が制定され、そのめひかりの形をモチーフに塩キャラメル入りのチョコ「めひかり塩チョコ」を開発、販売を開始いたしました。当時は生キャラメルブームもあり、順調に売り上げを伸ばしてまいりましたが、2011年3月11日、東日本大震災に見舞われ、大口取引の地元観光施設は再開の見通しがつかないほどの被害を受けました。原材料の塩を作ってもらっていた工場も被災。

そこに、原子力発電所の事故が重なりました。福島の風評被害が深刻な事態となり、製塩の工場は、福島からの食塩事業の撤退を余儀なくされ、以来、いわきの塩がコンセプトだっためひかり塩チョコの塩は、福島県以外から取り寄せるという事態となりました。しかし、震災を経て得たことも多く、「オールふくしま」という絆ができて、福島県皆で頑張ろうという機運から、さまざまな果実商品、お酒を使った商品などコラボ商品を増やしコラボを通しての新たな福島の価値を発信しております。2019年にはJR東日本の豪華寝台特急「TRAINSUITE四季島」にめひかり塩チョコプレミアムが採用され、続けてきてよかったと深く感謝いたしました。商品開発当初は予算などの問題で使うことができなかった会津山塩。今や会津山塩は全国的にも有名な塩となりましたが、当社も承認店の資格を得て、ついに20年の時を経て、会津山塩を使っためひかり塩チョコを今年3月14日からシリーズ新商品として販売開始、震災から14年ようやく福島の塩に戻ってまいりました。来年2026年はJR東日本と福島県による「ふくしまデスティネーションキャンペーン」開催年になります。福島は超有名菓子店はじめ、美味しい和菓子店、洋菓子店がきらぼしの如くたくさんあります。当社も20周年を迎えます。来年と言わず是非、ふくしまの美味しいお菓子の旅にお越しください。お待ちしております。
株式会社いわきチョコレート代表取締役・栁沼大介