各地の菓子店探訪
鹿児島県菓子店の投稿

~誠花堂~

鹿屋に棲むタヌキ(ケーキ)

誠花堂

 鹿屋市は大隅半島の拠点都市で、鹿児島市内からは桜島フェリーで渡り、雄大な桜島の景色を楽しみながら行けますし、鴨池・垂水フェリーで名物のうどんを楽しみながら、垂水市に渡ってから行ってもいいし、空港からは高速道路もつながっており、交通アクセスもよく、観光名所も多い魅力的な街です。

 今回ご紹介するのは、そんな鹿屋市にある「誠花堂」です。創業は昭和35年。店主は二代目の川崎裕文氏です。

 代表銘菓の「さといも饅頭」は、鹿屋産里芋「輝光」を加工し餡に混ぜ合わせ、隠し味に味噌を使用しており、生地の外側には、とろろ昆布やココア、桂皮末を使用し、見た目も里芋そっくりなユニークなお饅頭です。また鹿屋産落花生「郷の香」を使用したピーナツの甘さと香りが風味豊かな「ピーナツまんじゅう」や、地元酒蔵の色々な焼酎を使ったゼリー、そして「鹿屋産深蒸し茶」を使った濃厚なのに甘さ控えめでさっぱりした「グルメチーズケーキ」など、地元の特産品をふんだんに用いた和菓子や洋菓子など人気商品がズラリと並びます。

誠花堂銘菓

 そして、目玉商品が「たぬきケーキ」なんです。昔懐かしいバタークリームをたっぷり使用したチョコレートケーキですが、愛らしい「たぬき」の形が大人気の商品です。

 一つ一つ手作りなので、表情が少しずつ違うのも魅力の一つで、ショーウィンドウの前で、思わず「どの子にしようかしら」と悩んでしまいます。また、なんといっても「誠花堂」のタヌキの大きな特徴は、季節や行事によって、タヌキの持ち物や被り物などの飾りが変化することです。同業者が思わず「こんな面倒なことはできない。」と舌を巻くほど。訪れるお客様も「今日は、どんな表情かな。」と楽しみなことでしょう。あまりの人気ぶりに、キーホルダーやピンバッジなどのオリジナルグッズも作成、販売されるほどです。

 今日もショーウィンドウの中でタヌキが並んで待っていますよ。鹿屋を訪れたら、是非タヌキに会いにいらしてくださいね。

 鹿児島県菓子工業組合事務局長・惠島理子