各地の菓子店探訪
栃木県菓子店の投稿

「土用あんころ餅」

江戸時代から伝えられる

土用のあんころ餅

 栃木県芳賀郡茂木町は、県東南部に位置する城下町で、50年ほど前までは、日本専売公社の工場があり、葉たばこ産地として栄えました。葉たばこの収納の際は、近隣の町村からも持ち込まれ、収納時の土産物としてお菓子の需要も多く、人口2万人に満たない町内には、十数軒の菓子店があり、それぞれ特徴ある菓子の販売をしておりましたが、専売公社の移転に伴い、人口減少過疎化が進み、菓子の需要も減少傾向が進みました。

 そこで先代の組合員が、夏場の菓子の需要促進を図るため、毎年7月に土用のうなぎならぬ、「土用のあんころ餅」で暑気を払い、夏の暑さに負けない暑気除け餅として、各店舗で製造し、1日限定で販売しております。

 近年は店舗数も減少しておりますが、長年の継続により、土用のあんころ餅は町民に定着しており、最近では組合には所属していませんが、道の駅もてぎを運営する㈱茂木プラザが、あんころ餅を製造し、町民だけではなく、県内外のお客様に、茂木町の夏の風物詩として販売を行っております。

 また、コロナの影響もあり、数年間は中止しておりますが、6月の茅の輪くぐりの神社境内で、四方焼の実演販売を行っておりました。

 今後も先人の作り上げた伝統を守りながらおいしいお菓子の提供をしてまいりたいと考えております。

 栃木県菓子工業組合芳賀支部・石﨑雅之(有限会社源太楼代表取締役)