『へべサンド』
宮崎特産のへべすを使ったお菓子

私は、御菓子司上野三代目の上野正貴と申します。創業して76年になります。宮崎で菓業青年会会長をさせていただいております。今回は、宮崎県特産のへべすについて、そして、ヘべすを使用したお菓子について紹介します。
へべすは、江戸時代末期に、宮崎県日向市の富高地区に住んでいた長曾我部平兵衛という人が山で自生している香り高い実のついた木を見つけ、育てたのが始まりであると言われています。そして、その平兵衛さんの名前から、「平兵衛酢(へべす)」が名付けられました。

大分県特産のかぼすや高知県特産のすだちと同じ香酸柑橘類のへべすは、他と比べ皮が薄く、種がほとんどないため果汁がたっぷりで絞りやすく、まろやかな酸味と爽やかな香りが特長です。
2006年に「みやざきへべす」としてみやざきブランドの認証を受けており、その生産の多くは宮崎県の日向地域が占めています。へべすは、6月~7月にハウス、8月~10月は路地で栽培されますが、柚子やかぼす、スダチと比較しても生産量が非常に僅かな為、「幻の柑橘」と言われています。
へべすの特長である爽やかな酸味とまろやかな旨みは様々な料理にも合い、旬の時期が来ると飲食店では、へべすを使った料理をよく見かけます。宮崎は焼酎文化なので、自宅では焼酎に一搾りして風味を楽しむのがおすすめです。
私は、3年前から始まった日向市の「へべす消費拡大プロジェクト」の一環で、へべすを使ったお菓子を開発し、宮崎市内でへべすの魅力を広めて欲しいとの依頼を受けました。そこで、宮崎産業経営大学で観光、特産品について学んでいる生徒や、県立宮崎南高校で探究学習をしている生徒達とへべすの消費拡大を目的とした新製品の開発に取り組む事になりました。

学生たちとは何度も話し合いを重ね、老若男女問わず幅広い年代に受け入れられるお菓子を目指す事にしました。へべすの特長を最大限に生かすため、試行錯誤を繰り返し、へべす果汁と皮を入れ焼き上げたクッキー生地で、へべす餡をサンドした「へべサンド」を開発しました。
宮崎市内のイベントや日向市で開催されたへべす収穫祭などで販売しました。学生がお客様にアンケートを取ったところ、「へべすの爽やかな香りのクッキーとまろやかな酸味のへべす餡の相性がとっても美味しい」など多くの意見が寄せられました。
私は、地元の大学生、高校生と開発した「へべサンド」を食べて、へべすの認知度をあげ、宮崎の観光資源になればと思っています。
宮崎には素晴らしい食材がたくさんあるのでお菓子作りを通して宮崎の良さや、素晴らしさを全国に発信し、宮崎を盛り上げていきたいです。
宮崎菓業青年会会長・御菓子司上野三代目・上野正貴
全国菓子工業組合連合会