菓子への想い
「真・善・美」を追求する

福島県会津若松の鶴ヶ城正面入口に蔵造りの店舗を構える上菓子司会津葵は、会津藩御用の茶問屋、二字屋治郎左衛門系譜を持ち、そこから数えると当代で十代目となります。
当社看板菓子の南蛮かすてあん会津葵は、藩主松平家の紋どころ、お菓子の押文様は藩公の文庫印「会津秘府」をうつしたもので、福島県産の小麦粉を使った卵黄たっぷりのカステラ種に、自家製こし餡を入れて焼き上げました。きめの細かいカステラと風味豊かなこし餡の絶妙なバランスをお楽しみ頂けます。
なぜ山国会津でカステラなのかと申しますと、一つは会津地方では江戸時代より徳川幕府より賜った、お種人参の栽培が盛んで、会津人参の貿易を一手に引き受けていた会津藩御用、長崎の豪商足立仁十郎が、二年に一度会津を訪れて南蛮文化を伝えた事にあります。また、古文書の中に天保九年幕府御巡見使供応に用いられた謎のカステラ玉子の史実が有り、現在のカステラとは少し違うかも知れませんが、江戸時代に会津へ伝わったものと考えられます。
もう一つはレオという洗礼名を持つキリシタン大名蒲生氏郷公であり、当時鶴ヶ城に残された泰西王侯騎馬図や唐人凧、隠れキリシタン遺品など実際に南蛮渡来の文物が数多く残っているのです。
山国会津と南蛮文化。一見奇妙な取り合わせに見えますが、二つの潮流の接点に生まれたのが弊舗秘法の「かすてあん会津葵」です。
会津の文化の背景には美を求めて毅然とした会津茶道と謎の南蛮文化があります。

また、柳宗悦氏が説く民芸運動の美学と思い入れを取り入れ、機械化量産ではなく人間の心が宿っている手作りにこそ、美しい物は存在するという思いに沿い、物真似・模倣ではなく独自の道を行く、異色の菓子づくりを目指してまいりました。
さらに、「ならぬことは、なりませぬ」の會津士魂を経営の基本に据えて、古きよき日本の商人文化と「真・善・美」を追求する商人道を実践して行きたいと考えます。
原料を精選し添加物を極力使わずに、一つひとつていねいに仕上げたお菓子には、それぞれにこだわりがございます。量産はできませんが、深い愛情と責任をもってお客様にお届けしております。
株式会社会津葵代表取締役・五十嵐康祐
全国菓子工業組合連合会