島民に愛される和の甘み ―
佐渡「池田菓子舗」を訪ねて

金山が世界文化遺産に登録されて一年余り。新潟から越佐海峡をフェリーで揺られること二時間半、さらに車で30分ほど進むと、海風にきらめく真野湾とゆるやかに連なる山並み、そして田んぼの上空を優雅に舞う朱鷺の姿が迎えてくれます。豊かな自然が広がるこの地域に佇むのが、地元で長く親しまれる和菓子店「池田菓子舗」です。
同店のルーツは昭和の初めに開業したお饅頭店で、現在の形となったのは1960年代。店に入ると、ガラスケースには団子やまんじゅう、焼き菓子が整然と並び、どれも島民の暮らしと共に歩んできた歴史を感じさせます。
中でも目を引くのが、地元名物「沢根だんご」。店主の池田朋弘さんによると、江戸時代後期、真野湾の港で栄えた沢根地区で、佐渡金山へ向かう人々が携行食や土産物として親しんできたものだといいます。
一口サイズの薄くしっとりとした皮の中には、上品な甘さのこしあんがぎっしり。「佐渡産の上新粉で作っているんですよ。冷たくして食べるのもおすすめです」と池田さん。自然解凍後に氷水へくぐらせると、つるんとした舌触りで白玉のような口当たりになり、暑い季節にも涼やかに味わえるそうです。
かつては、近所の方が皿を持ち寄り、「この皿いっぱいに盛ってほしい」という注文で販売していたこともあったとか。現在は鮮度を保つため、製造後すぐ急速冷凍した状態で島内のスーパーや土産店で販売されています。今後はECサイトの活用により、島外への販路拡大も見据えています。

また「池田菓子舗」では以前、週末限定で洋菓子も販売していましたが、息子さんが修行から帰ってきたことを機に、この6月、数軒隣に「PATISSERIE RIVAGE(パティスリー リヴァージュ)」を開店。こちらもすでに評判を呼んでいます。
離島ならではの商いは、仕入れや天候によるフェリーの運航状況など苦労も多いといいます。それでも、和・洋それぞれの菓子づくりを通して地域に寄り添い、朱鷺が舞う佐渡の豊かな風景とともに歩んできた池田さん一家。訪れた人の心にも、島の恵みのような温かさがそっと残るお店でした。
全菓連青年部関東・甲信越ブロック長・濱島克己
店舗データ

池田菓子舗
池田 朋弘
〒952-1433
新潟県佐渡市沢根篭町35
TEL:0259-52-6643
全国菓子工業組合連合会