各地の菓子店探訪
神奈川県菓子店の投稿

季節感を大事にした「お菓子」と「杉田三昧」

店主と贈答用菓子が並ぶショーケース

 大正11年創業の「菓子一」はJR新杉田駅と京急杉田駅をつなぐ商店街に店を構えています。3代目の相原一司さんにお話をうかがいました。

 ここ杉田の地は米作りに適さなかったため、約400年前の領主・間宮信繁が梅の木の植樹を奨励し、その梅の実を売って生活の一助とさせました。最盛期には3万6千本にも達し、梅の名所として杉田梅林が有名になり、江戸中期から明治前半にかけて多くの文人墨客が杉田を訪れたといいます。歌川広重もこの地を訪れ「武州杉田の梅林」を描いています。この華やかな杉田梅林を偲ぶお菓子として創作されたのが「梅さやか」です。梅の甘露煮を桃山種で包み梅の酸味と甘みがバランス良く焼き上げられた品です。第23回全国菓子博覧会にて食糧庁長官賞の栄に浴し、平成23年には「磯子の逸品」にも選ばれました。お客様のファンが多いお菓子です。

 また、毎年2月に開催される「杉田梅まつり」では杉田梅の銘を使用した「杉田梅ようかん」と「杉田まんじゅう」がにぎわいに花を添えます。

季節のお菓子

 そして、かつて海苔の産地として知られ景勝地として名をはせた屏風ケ浦海岸を偲ぶお菓子として「磯かぜ」があります。神奈川県より伝統ある名品として神奈川県指定銘菓に指定され、郷土色豊かな地元銘菓として愛されています。

 カステラ饅頭を羊かんでコーティングし、青のりで磯の風味を加えたグラニュー糖を抱かせたお菓子です。それから「永仁の鐘」も杉田の地にちなんだお菓子です。お店から200メートルほどの距離にある東暫寺の国重要文化財に指定されている梵鐘をかたどって作られた焼き菓子です。洋風な生クリームを使った生地で色鮮やかな紫芋の餡を包んだ風味豊かな一品で、全国菓子博覧会で厚生労働大臣賞を受賞しています。菓子一では「梅さやか」「磯かぜ」「永仁の鐘」の杉田銘菓3品を詰め合わせにした杉田三昧が好評を博しています。

 また、季節先取りの生菓子がショーケースに並び、季節の移ろいを伝えます。

菓子一通信

 店主作成の「菓子一通信」が毎月発行され店頭で配布されています。カラー印刷で販売日や行事のお知らせ・定休日等が記載されています。この菓子一通信を通して、より和菓子を知ってもらう機会になればうれしいと店主は話していました。

 神奈川県菓子工業組合・事務局職員・今関静子

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