餡作りの実技授業始まる
島根県菓子技術専門校
この度の東日本大震災・原発事故という甚大な被害に対して被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
松江市では藩主松平治郷(不味公)により、お茶とお菓子が盛んになり日本三大菓子処として城下町の風情と共に昔ながらの佇まいを残しています。築城当時の家臣屋敷跡地に、松江歴史館が開館し、茶室から間近に眺められる天守閣と庭園を見ながら和菓子と抹茶を味わうことができます。和菓子と抹茶に慣れ親しんでいる松江市に、平成9年島根県菓子技術専門校が開校して、今年で15年目になります。今年度も5月13日より製菓理論と餡作りの実技授業が始まりました。製菓理論では「我が国の和菓子の変遷」「お菓子の意義」「お菓子作りの基本的な知識」等を講義します。特に本校で重視し取り組んでいる事は製餡です。和菓子の美味しさは様々な角度から成り立っています。味のきらめきを感じ、食べた後の余韻が残る程美味しい和菓子は餡の良し悪しで決まると思います。まさに餡によって味の三分の二が決まるといっても過言ではありません。餡作りに於いて先ず小豆を煮て笊に通し、ふるいにかけ生餡「ご」を作り、さらに手練で美味しさを引き出します。全ての工程を生徒が体験し、練りあがった餡を試食しながら工程について質問を受けます。餡作りの実技授業は生徒に驚きと感動を与え、美味しさへの挑戦に自信と熱意を持って取り組むことができます。さらに生徒各自が餡作りに対して「技と勘そして塩梅(あんばい)」が総体的に身に就く事を願いながら指導をしていきます。この様な手作りの餡の実技授業は全国的にも珍しい事だと思います。当校では和菓子28種類と製餡の実技授業を講師一丸となって,生徒側にたって懇切丁寧に指導し、修了後には実践に対応出来すばらしい結果が出せる授業をしています。
島根県菓子技術専門校講師・中林富夫