春牡丹
◇ピンクと赤の外郎で黄味餡を包み、茶巾で絞ります。仕上げに艶出しをして、春の陽光に輝く牡丹の花を表現した上生菓子です。
〈配合〉
〔外郎配合〕(約40個分)
白玉粉 ………………………… 50g
葛粉 …………………………… 50g
水……………………………約390㎖
薯蕷粉…………………………235g
上白糖…………………………470g
蜜(砂糖:水=1:1)…約100㎖
〔黄味中割餡〕
白生餡…………………………500g
グラニュー糖…………………340g
水……………………………約250㎖
茹で卵黄………………………… 4個
加糖練乳 ……………………… 25g
水飴 ………………………… 約25g
〔仕上げ材料〕
緑色羊羹製の牡丹の葉
〈仕込工程〉
【黄味中割餡】
①茹でおいた卵の卵黄をかたく絞った布巾の上に絹目の裏ごしフルイで裏ごし、布巾揉みをしておく。
②サワリに水とグラニュー糖を入れて加熱溶解する。
③白生餡を入れてまんべんなくヘラを入れながら煉る。
④きんとん餡位の硬さになったら卵黄の倍量位をボールに移し入れ、卵黄を加えてホイッパーでフシがなくなるまで手早く混ぜ合わせる。
⑤サワリに戻して弱めの火加減で焦がさないように煉り混ぜる。
⑥硬めの並餡位の硬さになったら、加糖練乳、水飴を加えて煉り上げる。
※加糖練乳は黄味の味をまろやかにする隠し味として添加します。
※煉り上がりの硬さは外郎生地より軟らかくならないように注意します。
【外郎仕込み】
①ボールに白玉粉と葛粉を一緒に入れ、最初は水を徐々に加えて手で粒子を溶かす。
※最初に水を多く加えると大きな粒子が残り、溶けにくくなります。
②予め薯蕷粉と上白糖を混ぜ合わせておいたものを加えてホイッパーで混ぜる。
③セイロに蒸し枠を置き、絞った布巾を敷き込んで空蒸しをした後に生地を流し入れて20分間位蒸す。
④一度セイロから取り出して布巾ごともみ混ぜ、全体の蒸れ加減を均一にする。
※途中で混ぜることにより蒸れすぎの部分と蒸れ不足の部分ができるのを防ぎます。
※蒸し時間の短縮になるので生地の色焼けを防ぐことができます。
⑤布巾上に均等に広げて再度15分間蒸す。(蒸し枠は使用しない。)
⑥再度布巾もみをして手蜜を塗ったボールに移す。
※きめ細かで滑らかな弾力のある生地にします。
⑦蜜を混ぜながら40℃位まで熱を抜き、約1/5を赤に、残りをピンク色に着色をする。
※蜜による硬さの調節は生地に熱があるうちに行います。
【仕上げ】
①手蜜または食ロウを使い、ピンク色生地を22gに赤生地を4gに種切りする。
②ピンク色生地を軽く押し広げ、赤生地を貼り合わせて中餡17gを包む。
③表面に片栗粉をまぶし付け、茶巾で絞る。
※絞り口を3本の指先でつまむように絞る。
④余分な粉をハケではらい、セパレート紙を敷いたセイロに並べる。
⑤強めの蒸気で2分間蒸す。途中2、3回蓋をはずして風を送り泡を消す。
⑥蒸し上げたら風を当てて表面を皮張らせ、ワタシなどに移す。
⑦完全に冷ましてから羊羹製の葉を付けて仕上げ、ケースなどに入れる。
☆外郎生地の基本配合は薯蕷粉を主体に餅粉を使用します。好みや仕上げ目的により白玉粉(餅の弾力感)、葛粉(ぷるんとした弾力感、歯切れ、透明感)、浮粉(白さ、歯切れ)などを配合して調整します。
専修学校 日本菓子専門学校教育局通信教育部部長 小野礼司 教師
和菓子講習 基礎編より