トランシュオノワ Tranchesauxnoix
今回の製品は、クルミの風味を生かした軽い食感で別立ての絞り生地をムスリーヌ(バタークリームとカスタードクリームを合わせたもの)でサンドし、シンプルですがカットした断面がとても綺麗なスポンジ生地を主体としたお菓子です。では、そのスポンジの製法について説明します。
スポンジは、洋菓子に取って大切なケーキのボディーをなすものです。このスポンジにいろいろなクリームをサンドして一つのケーキになります。その大切な部分であるスポンジには、大きく分けて①共立て法、②別立て法、③オールインミックス法の3種類があります。
①共立て法は、全卵と砂糖に熱を付け充分に泡立て小麦粉を合わせる製法。きめが細かくしっとりしたものになり丸型やロール生地として一番良く使われます。
②別立て法は、卵を卵黄、卵白に分けて泡立てる方法でメレンゲの気泡を生かした軽い生地です。
③オールインミックス法は、乳化剤、気泡剤を加え全材料をいっしょに泡立てる製法で失敗無く作れますが、風味はやや劣ります。
今回の製品では、②の別立て法で作った軽い生地を綺麗に絞っています。別立て法は、共立て法よりも生地製法がデリケートであり出来不出来がハッキリします。これは、卵白、砂糖でしっかり角が立ち、艶のあるように泡立てたメレンゲの気泡です。卵黄も熱を付け充分泡立てメレンゲと合わせます。その後小麦粉を合わせます。ここでの注意ですが生地を合わせ過ぎるとメレンゲの気泡が潰れ目が詰まってボリュームも出ず、絞ってもダレてしまい形になりません。
特に今回のビスキュイオノワは、クルミの粉末を加えておりメレンゲの泡が早く消え易いので手早く生地を作りましょう。また、絞るとき、綺麗な絞り目が出るように丸口金の太さのままで絞って下さい。
●配合(9㎝×2.5㎝ 14個分)
A、ビスキュイオノワ(Biscuits aux noix)
卵黄…………………………120g
グラニュー糖 ……………… 20g
卵白…………………………210g
グラニュー糖 ……………… 70g
薄力粉 ……………………… 30g
粉末クルミ…………………100g
※クレームパティシェール(Creme patissiere)
牛乳…………………………150g
卵黄 ………………………… 30g
グラニュー糖 ……………… 30g
ヴァニラスティック …… 1/5本
薄力粉 ……………………… 12g
B、ムスリーヌオノワ(Mousselineaunoix)
クレームオブール…………300g
クレームパティシェール…150g
クルミのリキュール ……… 30g
※クレームオブール(Creme au beurre)
バター………………………200g
卵白 ………………………… 50g
グラニュー糖………………100g
●仕上材料
プードルデコール
●仕込工程
①Aを別立て法で仕込む。
a、卵黄・グラニュー糖を湯煎で温めてから、もったりするまで泡立てる。
b、卵白・グラニュー糖でしっかりしたメレンゲを作る。
c、aにメレンゲ半量を加え軽く合わせ、篩った薄力粉・粉末クルミを合わせる。
d、残りのメレンゲを軽く合わせる。
e、8枚取り鉄板2枚に丸口金で斜めに絞り、190℃のオーブンで焼成する。
②Bを仕込む。
a、クレームパティシェールをクルミのリキュールで延ばしクレームオブールと混ぜ合わす。
※クレームオブールは、ホットメレンゲ方で仕込む。
●仕上工程
①焼き上げたビスキュイオノワを縦3本にカット(6枚)する。
②ムスリーヌオノワを80gづつサンドし、6枚を重ね冷やし固める。
③プードルデコールを上面に振りかけカットする。
日本菓子専門学校 平岡強 氏
洋菓子講習 基礎編より