お菓子のレシピ集
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ピティヴィエ(Pithiviers)

ガレットデロワ(王様のお菓子)王冠を載せるとガレットデロワに【ピティヴィエ編】

 名前はフランスのパリとオルレアンとの間にあるピティヴィエから取られ、名物菓子とされています。さくさくのパイ生地とふんわりしたアーモンドのクリームの食感がすばらしい製品です。

 中にフェーブ、上に王冠を載せると「ガレットデロワ(王様のお菓子)」と名前が変わり1月6日の「公現節(エピファニー)」に食べるお菓子になります。切り分けた菓子の中にフェーブ(空豆、陶器の人形等)が入っていると当たった人は、王様(幸運)になれると言う、おもしろい遊び心のあるお菓子です。

●配合
A・フィユタージュ(Feuilletage)
強力粉………………175g
薄力粉 ……………… 75g
バター ……………… 25g
食塩…………………… 4g
水……………………130g
折込用バター………225g

●仕込み工程

①小麦粉をフォンテーヌ状にして食塩、水、バターを加え生地をまとめ、乾燥しない様に冷蔵庫で休ませる。

②バターを麺棒でたたき1㎝程度の厚さで正方形にする。

③生地を油脂を四隅から包める大きさに延ばし、乾燥しない様に冷蔵庫で休ませる。

④生地でバターをしっかり包む。

⑤冷蔵庫で休ませながら、3折を6回行う。

●折りパイ生地

 ドイツ語でブレッタータイク(Blatterteig)フランス語でフィユタージュ(Feuilletage)英語でパフペースト(Puff paste)

 折りたたんで延ばす作業を何回も繰り返すことにより、生地とバターの層を作ります。仕込み方の注意点は、小麦粉に水を加えてねる時には、冷水を使用して生地にグルテンを過剰に出さない様にします。過剰にグルテンのでた生地は生地の縮む力が強くなり、折り、延ばす作業の際にバターがはみ出す原因になります。

 延ばす際の注意点は、生地を冷蔵庫で30分はやすませる。手粉はなるべく少なくすることです。手粉が多いと生地の水分が吸収されて、生地が硬くなり、延ばしにくくなってしまいます。又、生地の硬さとバターの硬さが同じぐらいの硬さに調整すると延ばしやすいです。バターが硬いとバターが切れてしまいますので、冷蔵庫から出してすぐの生地は注意して下さい。バターが硬くならない温度設定が必要です。小麦粉タンパク質のグルテンは延ばす方向により縮もうとしますので、折るたびに生地をのばす方向を変えてあげるとグルテンの弾力も分散され、変形しにくくなります。3折の場合生地の大きさの3倍の長さを目安に延ばしてあげて下さい。

B・クレームダマンド(Creme d’amandes)
バター ………………… 60g
粉糖 …………………… 60g
液卵 …………………… 35g
粉末アーモンド ……… 60g
ラム酒 ………………… 15g

①クリーム状にしたバターにふるった粉類を加えよく混ぜる。

②液卵を徐々に加え合わせる。

③ラム酒を混ぜ合わせる。

●仕上げ工程

①Aを4㎜厚にのばし、φ18㎝、φ21㎝の丸形を各1枚取る。

②φ18㎝のまわり1・5㎝を残しBを渦巻き状に絞る。

③ふちに水をハケ塗りして、φ21㎝のAをかぶせる。

④全体につや出し用の卵をハケ塗りして、ナイフで切れ目を入れる。

⑤200℃のオーブンで焼き上げる。途中、薄く色づいてきたら、粉糖を振りかけ、再び220℃の上火を強くした、オーブンに入れカラメリーゼする(約50分)。

●仕上げの注意点

 塗り卵は、生地の切り口に垂らさない様に塗って下さい。卵のタンパク質が熱で硬まり、その箇所だけ層が綺麗に浮き上がらなくなってしまいます。又、塗りすぎてしまうと、生地の表面に液卵がたまってしまい、焼き上がりが汚くなってしまいます。

 表面の筋は切り込みを深く入れすぎない様に注意して下さい。深く入れすぎてしまうと、クレームダマンドが吹き出る場合があります。

●焼成工程

 焼き上げの温度は200℃。

①オーブンの熱によって油脂が溶けて液状になると同時に、生地の澱粉粒は少しづつ熱膨張する。

②生地のグルテンは、仕込みで十分に吸収され80℃位になると熱凝固し、その後、吸水されていた水分が放出される。また、澱粉粒も80℃位で糊化し、その後水分を放出してパリッとなり澱粉糊は乾く。

③放出された水分は、液状となった油脂の層に移行し、この水分は100℃から蒸気となって、油脂の層が大きく開かれて、全体が浮いてくる。

●焼成の注意点

 生地の中心には穴を開けておきクレームダマンドから出た蒸気が出やすくしておきます。忘れてしまうと生地の破れにつながります。

 焼成時間が長くかかる製品の場合、高温で焼き続けると焦げてしまいます、そこで、フィユタージュが浮き上がったら温度を低く設定してあげると、必要以上の焼き色が付かないで綺麗な焼き色に焼き上がります。又、最後に粉糖を振った後はそのままにして焼くと底の部分が焦げ付きやすいので注意しましょう。

●原材料

①小麦粉・グルテンの強い物がよいとされています。薄力粉の方は強力粉ほど浮き上がらず、断面には薄い層があまり無い。食べ口としては強力粉の方が硬くあがります。

②水・小麦粉を練るときは冷水を使用します。常温水を使うと生地の腰のしなやかさが急速に出てしまう。パイの場合、この状態が早く生じては困るので冷水を使用する。

③食塩・味の点だけでなく、生地の伸展性を良くし薄くのばすことが出来る。

④油脂・味覚の点からはバターがのぞましいが、粘性があり良くのび水分の少ない方がよいとされている。

専修学校 日本菓子専門学校 三浦秀一 氏
洋菓子講習より

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