ノワゼットオバール(Noisette ovale)
(1)ビスケット・クッキーについて
ビスケットは、軍隊や船乗りの糧食、捕食として用いられた携帯食で、保存をよくするため油脂分の少ない硬いパンであった。
ビスケットは、フランスのビスキュイ(Biscuit)、二度焼いたと言う意味の言葉から由来するといわれる。
ビスケットは、油脂分が少なく平型で、大型のものが多いのに対し、クッキーは油脂分が多く含まれるリッチなものである。
スイスでコンフェクト(Confect)と呼ばれ、ドイツで、テーゲベック(TeeGeback)と呼ばれ、お茶と共に食べる意とされている。
ビスケット生地は、小麦粉、油脂、砂糖、卵、香辛料によってつくられ仕込み形態により、のばし生地、アイスボックス、手形ものに大別されるが、特殊な例として水種生地がある。
(2)仕込形態による分類
①のばし生地
生地をのばし抜型で抜いて焼くもの。生地を手早く、少ない手粉で平均な厚さにのばすことが大切であり、それには麺棒でのばす技術の習得が要求される。
・麺棒でのばすときの注意点
a、力を平均に入れて伸ばす。
b、正しい姿勢、正しい持ち方でのばす。
c、手の動作、体の動きを正しくする。
d、より速く、より正確にのばす。
②絞り生地
生地を絞り袋に入れ、鉄板に絞り出す生地である。その際袋に生地を入れすぎると、手の熱によって生地が軟らかくなるので注意する。絞る間隔、大きさを均一にすることが大切である。
③アイスボックス
生地を成形した後、冷やし固めカットしていくものである。そのままでは整形しにくい油脂分の多い生地をこの方法で仕込むことが多い。冷蔵庫から出してすぐに、手早く作業することが大切である。
④手型もの
手で生地を整形するもので、ブレツェル(BrezeI,8の字形をしたビスケット)が有名である。
ノワゼットオバールは、配合的に薄力粉に対して86%のバターを含む大変リッチな配合になっています。サクサクした食感とオレンジピールの酸味、ノワゼット(ヘーゼルナッツ)の風味が香ばしさを強調したクッキーです。
●配合(50枚分)
バター……………………………155g
グラニュー糖……………………110g
バニラステック ……………… 1/4本
卵黄 ……………………………… 60g
粉末ヘーゼルナッツ …………… 70g
オレンジピール刻み …………… 30g
ヘーゼルナッツ刻みロースト…120g
薄力粉……………………………180g
・仕上材料
ヘーゼルナッツ(ロースト) … 40g
つや出し用卵
●仕込工程
シュガーバッター法で生地を仕込む。
①バターをクリーム状にし、グラニュー糖を加え少し白くなるまですり混ぜる。
②バニラステック、卵黄を加え混ぜ合わす。
③オレンジピール刻み、へーゼルナッツ刻みローストを加える。
④粉末ヘーゼルナッツ、薄力粉を加え生地を整える。
⑤一晩冷蔵庫で生地を休ませる。
⑥生地をもみ混ぜ硬さを整え4~5㎜厚に延ばし6・5㎝×4㎝の菊楕円の抜き型で抜く。
⑦鉄板に霧を吹き生地を間隔よく並べる。(鉄板に霧を吹くのは卵を塗るとき生地が動かなくなるため)。
⑧つや出し用卵を塗り、刻みヘーゼルナッツを適量のせ、一七〇℃~一八〇℃のオーブンで約15~20分焼成する。
●仕込み上の注意点
・バターと砂糖はすり混ぜ過ぎないようにする。すり混ぜすぎると空気が入り過ぎ、製品としたときこわれやすいものになってしまう。逆に、すり混ぜが足りないと硬い食感の製品になるので注意。
・仕込んだ生地は一晩冷蔵庫で休ませておくことにより作業性が良くなる特に夏場は、生地が軟らかくなりやすいので注意する。
・休ませておいた生地をもみ混ぜ伸ばしやすくするとき、このときもみ混ぜが多すぎると生地に粘り(グルテン)がでて焼成後の食感が硬い製品になりやすいので注意する。
・生地は良く焼くことによって小麦粉がα化し香ばしさが出るのできつね色程度によく焼くことが大切です。
専修学校 日本菓子専門学校 梅島孝一 氏
洋菓子講習より