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伊万里西松浦郡菓子組合のこれまでの歩みと現状

中嶋神社の全景と左中央が橘の木 伊万里と言えば、言わずと知れた焼物の産地。その隣町には陶都有田があり、有田の組合と一緒に先達が、伊万里西松浦郡菓子組合をおこし、現在に至っています。

 伊万里、有田は焼物の産地という他に、伊万里川を上っていくと小高い山の上に、菓祖中嶋神社があります。現在中嶋神社がある所に前は香橘(こうきつ)神社がありその敷地内に昭和30年中嶋神社が、建立されたもので、その後香橘神社と戸渡島(ととしま)神社と、岩栗神社が合祀され伊萬里神社と呼ばれています。

 香橘神社は、その名の通り橘(たちばな)が香る神社といい、古事記や日本書紀には、垂仁天皇の命を受けた田道間守が不老長寿の橘の実を持ち帰った果物が菓子のルーツという記述から田道間守を祀った(まつった)中嶋神社が、菓子の神様といわれるようになりました。そして田道間守が持ち帰った所が伊万里での香橘神社での鎮座地です。

 そういうわけで、香橘神社、中嶋神社ともに、我々菓子組合はもちろん、市民にも信仰の対象として、参拝されてきました。

 我々菓子組合では毎年1月19日に神社にお参りして新年会、4月19日には菓子を持ちより商売繁盛を願い献菓祭を行い、また7月と8月は週に一度、盆を外して、親子でお菓子教室を市民センターの料理室を借り、13年間続けて受講生と供に楽しい御菓子造りをし、市民より愛される組合作りを目指してきました。

 伊万里市のもう一つの自慢は、"西洋菓子の父"森永太一郎の出身地であることです。

 陶器問屋を営んでいた伯父の薫陶を受けながら立派な商人として成長した太一郎は、陶器の売り込みのために24歳で渡米、商売には失敗しますが、一念発起して菓子作りの技術習得に執念を燃やします。1899年に帰国し創業した森永西洋菓子製造所(現・森永製菓)は、日本の菓子業界の近代化に多大な貢献をしてきました。

 また、1922年には郷土伊万里のために森永第8練乳工場を建設、酪農家の育成業振興にも力を注ぎました。座右の銘である「終始一貫」の書は、ご親族のお宅だけではなく市内小学校などいたるところで大切にされ、伊万里の"お宝"となっています。

 平成26年7月18日から9月7日まで「生誕150年記念 森永太一郎展」が佐賀県立博物館(☎0952―24―3947)で開催されます。太一郎はよく「菓子は私の主人だ」と口にしていたそうですが、ぜひ会場にお越しいただき、太一郎が菓子作りに傾けてきた"情熱"を感じ取っていただければと思います。

 伊万里西松浦郡菓子組合長・堀江利治

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