各地の菓子店探訪
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三日月堂花仙

古都鎌倉の老舗を訪ねて

三日月堂 花仙 横須賀線の北鎌倉駅を降り、円覚寺やあじさい寺としても有名な明月院など鎌倉の歴史を見て歩くこと二十分、今回ご紹介する三日月堂花仙さんが姿を現す。お店に近づくにつれて見えてくる「くずきり」の幟や甘味のメニューは思わず引き込まれてしまうほど風情がある。現在は三代目の上原義幸さんが日本古来の和菓子作りに精進されております。お店の名前である三日月堂の由来をたどると戦前の昭和四年までさかのぼります。創業者は池袋でカステラの卸問屋を商っており、地元に愛されていました。その頃はガスも電気も普及していなかったため、ご苦労もあり炭火を使って焼いていたそうです。その後戦争が終わり、後の二代目の父親が卸問屋を辞めて一から和菓子作りを勉強しているうちに、開発の波が押し寄せたことで池袋の地を去ることになってしまったが、ご苦労されて三日月堂の開業へと準備を進めていったそうです。その当時義幸さんは薬剤師を目指して勉強をしていましたが、ある時に鎌倉に店を創る夢を見た事をきっかけに蒲田の老舗で喫茶の修行をし、一年近くに及んで御菓子の要である餡作りについても研究習得したそうです。そして地元のお客様の薦めもあり、平成四年鎌倉山ノ内の地に念願であった三日月堂 花仙を開店させる事になったそうです。元々、義幸さんは製菓学校で十六年間も講師を務めている優秀な技能者で、鎌倉の歴史の勉強も熱心で、現在花仙の一番人気である可麻久良最中と鎌倉どらやきは、開店以来根強い人気があります。この土地に生きづきお客様にも愛されている事を知り感動しました。戦前から創業八十五年続く三日月堂 花仙さんは、義幸さんと従業員さんの心温まるおもてなしで、これからもお客様を喜ばせてくれる事でしょう。北鎌倉へお越しの際は三日月堂 花仙さんでゆったりとした時をお過ごしくださいませ。

 神奈川県菓子工業組合広報部・亀岡肇

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