各地の菓子店探訪
島根県菓子店の投稿

株式会社 吉岡製菓

親子で競い商品開発

4代目の吉岡洸さんと兄の徹さん 今回訪れたのは、昨年平成の大遷宮が行われた出雲大社のある島根県出雲市の東部に位置する斐川町です。この町は四季折々の花のイベントが多いことから「花の町」と呼ばれております。

 その斐川町で昔から店を構えている菓子屋が「株式会社 吉岡製菓」です。お話を伺ったのは4代目の吉岡洸(ひかる)氏です。吉岡氏は島根県菓子工業組合青年部会を、今後けん引していく若手の一人でもあります。今回残念ながら取材で訪れたときは、店舗の改装中で店の雰囲気を感じることはできませんでしたが、来年の春にオープン予定の新しい店舗は、お客様にゆったりと買い物をしていただきたい思いで、カフェを併設するそうです。店舗のデザインも吉岡氏が中心となり考えたそうです。吉岡氏は島根県菓子技術専門校を卒業後、すぐに吉岡製菓に入社し3代目登(のぼる)氏が和菓子を、洸氏が洋菓子を作り、商品のアイテム数を増やしていきました。つねに親子で競い合いとてもいい商品が生まれてくるそうです。

たまごふぃなんしぇ その一つに「たまごふぃなんしぇ」があります。材料にとことんこだわった焼き菓子で、希少なバターと地元産のひまわり油を贅沢に使って作り上げています。昔の焼き型を使っているのか少し大きめで食べ応えもあります。一口いただくと、とても軽い食感でバターの風味、ひまわり油の香りが口の中いっぱいに広がります。吉岡氏がこだわっているところはおいしい油、脂肪分を感じてもらいたいということだそうです。確かに普通の焼き菓子では味わえないおいしさです。この「たまごふぃなんしぇ」は卸しでは卵型の形で、今度オープンする本店では「花の町」にふさわしく花の形にするそうです。また人気商品に「美人シフォンケーキ」があります。斐川町には日本三美人の湯で知られる湯の川温泉があり、その土地で育った出西生姜を粉末にして使い、地元産のお米のきぬむすめを原料にした米粉も使っているシフォンケーキです。生姜の香りが程よく感じられ、おいしい上に低価格で販売されているのでとても売れているそうです。

 吉岡氏は常に新しいアイデア、新しいことを考えており、思いついたらすぐに行動に移していくチャレンジ精神旺盛な方です。洋菓子、和菓子の区別なく今までの常識をくつがえすようなお菓子に挑戦したいと常日頃思っているそうです。今回の取材では、兄の徹氏にも同席していただきました。徹氏は社会にでて経営、営業について勉強をしてきましたが、これから菓子職人として修業を積んだ後に実家の吉岡製菓に入社する予定だそうです。私は近い将来、吉岡製菓の三人の職人によって益々吉岡製菓が繁盛していくだろうと強く思っております。

 追記

 今回吉岡製菓の店舗が改装中のため、店の写真を撮ることができませんでした。そこで洸氏、徹氏の人柄がわかる写真を掲載させていただきました。ご了承ください。

 全国菓子工業連合会青年部中・四国ブロック長・高橋宏暢