かるかん奉納祭を開催
銘菓「鹿児島名産かるかん」への想い
去る平成26年11月4日、鹿児島市内の旧薩摩藩主島津家別邸、仙巌園内鶴嶺(つるがね)神社において、第11回かるかん奉納祭を開催いたしました。
秋晴れの中、菊まつり開催中の仙巌園庭園の賑々しさと趣を異にした、荘厳な鶴嶺神社の御祭神の御前に、お菓子をのせた三方を並べた祭壇を設け、粛々と神事が執り行われ、岩田泰一理事長が祭文を奏上、出席者全員による玉串奉奠など、奉納祭は滞りなく終了いたしました。
また、奉納祭終了後には、園内を訪れていた観光客の皆様に配布し、とても喜んでいただきました。
鹿児島における「かるかん」の最も古い記録は、1699年に島津家第20代当主で第3代薩摩藩主島津綱貴公の50歳の祝宴に出されたとあります。
また第11代藩主島津斉彬公は、日本の他地域に先駆けて、この地に、日本近代化の礎となった「集成館」という工場群を築き、製鉄・造船・紡績・ガラス・通信・印刷・科学・食品など、多岐にわたる事業を行いました。
その一環として砂糖の製法改良も行われ、薩摩の良米と自然薯、砂糖を按配して現在の「かるかん」が作られたのです。
「かるかん」の独特の食感と風味は愛され、現在では、鹿児島のみならず全国各地で製造・販売されておりますが、鹿児島の「かるかん」には、このような歴史に裏付けられた重みがあることを、鹿児島のお菓子屋さんたちは誇りを持ち、とても大事にしています。
そこで、鹿児島銘菓としてのブランド力を更に高めるために、現在「鹿児島名産かるかん」の名称で地域団体商標登録を取得するため、組合員一丸となり取り組んでいるところです。
奉納祭を終え、島津斉彬公の遺徳をしのびつつ、折からの菊まつりの色とりどりの華やかな賑いのなか、波穏やかな碧い錦江湾にそびえ立つ雄大な桜島を借景とした美しい庭園を散策しながら、潔いほどに白く清々しく凛としたたたずまいの「かるかん」を、改めて誇らしく想うことでした。
鹿児島県菓子工業組合事務局長・惠島理子