イベント開催&レポート
島根県レポートの投稿

小豆の講習会について

大谷博国理事長

島根県菓子工業組合/株式会社來間屋生姜糖本舗・代表取締役 來間 久

 (財)日本豆類基金協会からのの補助金を受けて小豆についての企画を島根県菓子工業組合と出雲菓子協会との合同で開催致しました。

 和菓子にとって絶対的な存在である〝あんこ〟小豆をテーマにした企画。それも昨今の地産地消のことも考慮した地元産小豆の取り組みについてです。島根県菓子工業組合、特に出雲のお菓子屋さんからの発起による地元での小豆栽培は、約10年ぐらい前から細々と続けられてきていました。さらには出雲平野の東部地域 宍道湖西岸地域の土地改良事業もあり、高収益作物の栽培ということで小豆の栽培を模索され、今現在では試験栽培から4年が経過しています。品種で言いますと、大納言を栽培されています。ここまでで、え、大納言だけ栽培…でお分かりになられるのは本当の和菓子屋さんですね。

 そんなことも踏まえ、小豆に取り組まれている事例を探していたところ、広島県菓子工業組合さんの取り組みを知り、この度の大谷博国理事長様(株式会社にしき堂 代表取締役)にその取り組みや苦労したところなどを先進事例としてお聞きしたく講演を企画しました。

 第一部「ひろしま小豆について」の講演会広島県菓子工業組合さんでは地域特産物を活用した新しい菓子の開発と普及に向けた取り組みとして、広島産レモン、酒粕に続き生産者さん、JAさん、菓子メーカーが協力して開発を進める広島県産の小豆を使ったお菓子を通して、県内産小豆の需要拡大をめざしておられます。

 まず、この取り組みをなさった経緯ですが、平安時代の安芸国では小豆栽培が盛んに行われていたと。そのような経緯で小豆の産地広島の復活をという思いもあるようです。また、時代背景も大きな要因であったようです。戦前は城下町広島のお菓子文化があったということ。さらには明治維新で時代が変わり、富国強兵という世になり、呉を抱える広島では兵隊さん向けのお菓子(エネルギー源、栄養源)という要素で羊羹が多く作られていたと、羊羹屋さんがたくさんあったそうです。こういったことも小豆への取り組みの要因ともなっているようです。広島県菓子工業のホームページをご覧いただければさらに詳しい概要がわかります。

 実際には、2017年から構想を練り、行政機関やJAグループ等と連携され、先進産地として京都、出雲を視察。ここで出雲が出て来たのは驚きでした。その後実際に栽培に取り組まれ2018年から試験栽培。約0・5haの栽培面積から300㎏の収穫量だったと、翌2019年には、6tの見込みであったが3tの収穫量。病害虫被害があったと。2020年には16‌haの栽培面積から6t収穫。生産者→JA→全農→組合→会員の流れでの販売であり、実際にはかなりな高値になるようですが、JAさんの努力により末端価格を抑えて、原料として使える価格を維持していただいているということでした。また、出雲の小豆栽培で抱えている大納言問題に関しても、大納言で上手く行ったら、普通小豆での栽培に転換するという方向性をもちながら取り組んでおられます。今は、大納言をこし餡にして使っていると。今は品質が安定し、良いものが組合員に販売できるようにと生産者さんJAさんが一生懸命に取り組まれています。組合としても広島県産小豆を使用した更なる商品を増やし、消費拡大に繋げるべく、JAさんと一緒に販売イベントを行ったりもしているとのことでした。2022年11月23日開催イベントでは、10品目の広島県小豆を使った商品を販売。ますます広がってきているようです。大谷様はG7広島サミットの準備などでお忙しいところを島根にお越しいただき、貴重な講演をいただきました。出雲でもこれからの小豆への取り組みのことを生産者さん、JAさんを含め、行政のかたたち、組合員うまくWin―Winの関係を構築、出雲ブランド小豆として成り立っていけばと思います。

トークディスカッション

 第二部では、出雲の若手のお菓子屋さんによる、和・洋菓子屋が提案する小豆を使ったスイーツがお披露目されました。それぞ3品、計6品のレシピ公開と作り方、参加者全員に6品のサンプルが配られ、小豆需要の拡大と新たな商品として自店の売上への貢献の一助となりました。そして、今後のお菓子屋のあり方についてとか、普段お話できないような、経営の話まで踏み込んだ意見交換のディスッカションが、時間いっぱい行われました。今までにない、一味違った、講習会でした。いただきました小豆を使ったお菓子はみんな、〝まかった〟(出雲弁で〝美味しかった〟)です。

イベント開催&レポートのサブカテゴリ一覧

イベント開催&レポート:島根県レポートの過去投稿一覧