各地の菓子店探訪
埼玉県菓子店の投稿

亀沢屋

すべてのお菓子にお客様との思い出を

麦こがし

 菓子処「亀沢屋」は、おいしいを沢山の人に届けたいという初代の思いを引き継ぎ、三代にわたり地元に愛されるお菓子を作ってきました。すべてのお菓子にお客様との思い出を作りたいという思いを胸に日々励んでおります。

 創業は、大正10年(1921年)。屋号である「亀沢屋」の由来は、初代が深谷にある和菓子屋で修行を行い、独り立ちにて開業する際に縁起の良い「亀」の字を頂き名前をつけたと聞いています。

 当時は、和菓子屋として開業しましたが、三代目でありパティシエの菊池社長により洋菓子にも力を入れるようになり今では和洋菓子合わせて200種類ものお菓子が店頭に並んでいます。

 亀沢屋の看板商品としましては、「麦こがし」という和菓子で、麦で炒って粉にした香煎生地に栗入り白あんを包みオーブンで焼いたお菓子です。やさしい甘さに香煎の香ばしい味わいは懐かしい味がするとお声をいただき、多くの方に愛される昔ながらの商品です。

秩父銘仙 貯古齢糖

 また近年では、日本画を描く画家であり店長坂本により、見た目でも楽しめるお菓子を作りたいという思いから「秩父銘仙」の柄を使った美しいお土産商品が考案されました。

 坂本の感性と菊池社長のこだわりの洋菓子作りにより、「秩父銘仙 貯古齢糖(チョコレート)」、「秩父銘仙車厘(ゼリー)」、シルクのできるまでをクッキーで表現した「秩父銘仙シルクの誕生物語」という3つの銘仙シリーズが誕生しました。まるで着物を着ているかのようなパッケージで、それぞれ味のイメージにあった銘仙柄を選ぶことで色とりどりの美しいお土産が完成しました。

 秩父銘仙とは、大正末期~昭和初期にかけて織られた絹織物で秩父の伝統工芸です。「秩父銘仙」をお菓子と組み合わせることで、新しい形で秩父伝統を発信することができ、秩父銘仙を知らなかった多くの人にお菓子だけでなく秩父の魅力も感じてほしいと思います。

 菓子処「亀沢屋」を続け創業102年が経ちました。新型コロナウイルスにより観光客が減少し不安になることもありますが、昨年は、ホームページを使いやすく親しみやすい形にリニューアルし対策も行いました(https://kamezawaya.net/)。時代と共に様々なことがありますが、伝統を守りつつも枠にとらわれない、お菓子や情報を発信して行けたらと思います。

 地元のお客様をはじめ秩父に観光に訪れる方々に支えられていることに感謝し、これからもお客様の思い出になるようなおいしいお菓子を作り続けたいと思います。

 埼玉県菓子工業組合理事長職務代行副理事長・小林敏夫

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