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コロナ禍での銘菓開発

リキュウハニーのほしようかん

リキュウハニーのほしようかん

 神戸と言えば平清盛の時代からの港町であり、異人館、ジャズ、ゴルフ、洋菓子、パン等海外からの文化を取り入れてきた町です。その中で和菓子店では、地域ごとに由来した銘菓や紋日等で日本文化や習慣を伝え守ってきました。組合としては、各地区イベント参加や和菓子教室の開催、勉強会など活発に行ってきましたが、令和3年からのコロナ発生によりほとんど全ての事業が無くなりました。

 そんな中、須磨・垂水支部では令和2年から「西神戸のお土産」をテーマに神戸らしい和菓子の開発を進めはじめ、試行錯誤していたところ、同時期に神戸市須磨区にある須磨離宮公園が、園内の季節の花から蜂蜜の採取を始めたとお聞きしました。須磨離宮公園とは、大正時代に皇室の別荘「武庫離宮」として、天皇陛下の宿泊を主目的に、当時の最高レベルの技術者たちによって造営されたもので、現在は神戸市の緑化協会によって管理運営され、春夏秋冬色々の花を楽しめる施設になっております。

 そして須磨離宮公園の協力のもと、地元で採れた食材を使った和菓子の開発を始めました。従来、お菓子でのハチミツの使い方としては、卵の臭み消しや焼き菓子の色付け、艶出しなど、メインでは使うことがあまり無かったのですが、須磨離宮公園のハチミツは季節の花による独特の味や香りがあり、充分に味のメインに使えるもので、採取時期による味や香りの変化も魅力として使うことにしました。

 まず発売日を和菓子の日の6月16日に設定し、色々試作品を作り、ハチミツの風味が一番強かった羊羹に絞り、外はしっかり、中はもっちりの「ほしようかん」が完成しました。お土産だけでなく、冠婚葬祭の色々なシーンで使え、神戸らしいデザインやロゴなどで、新しい感覚の神戸らしい和菓子「リキュウハニーのほしようかん」として開発いたしました。団体での商品開発での一番の問題はクオリティの統一で、いくらレシピや製法を揃えても店舗によって若干の違いが出るのは仕方がないので、この商品は一店舗で製造を担当、その他の店舗が小包装やシール、仕上げを担当し、各店舗は必要分を買い取りし、販売するかたちにしました。全て手作りのため大量生産せず、ハチミツの風味を優先し、日持ちも短めに設定しました。

 また、月に二回程度の作業日には組合員が集まり、まめに色々な情報を共有できるようにしました。今年で三年目となり、商品も安定し、現在での販売総数は1万1千個を超え、西神戸のお土産として定着しつつあります。

 兵庫県菓子工業組合須磨・垂水支部・橋本義幸

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