各地の菓子店探訪
神奈川県菓子店の投稿

喜久屋

道灌が訪れた地に根づく老舗

水無月と麩まんじゅう

 五月の節句も終わり、梅雨晴れの日に私は創業六十八年の喜久屋さんを訪れました。お店に入るとお花屋さんと見間違える程に鉢植えが綺麗に並んでおり生き生きとした葉の間から白い花を咲かせているスパティフィラムが目に入りました。そして、ウィンドーには季節を感じる青梅やくず桜、水無月に麦手餅が並んでいて、冷蔵ケースには自家製あんみつと麩まんじゅうや甘夏もちなど涼しげな和菓子が並び、目移りしてしまいます。季節の変化を感じる事が出来る和菓子に日本の文化を支えているのだと実感しました。店主曰く5、6年前頃から季節のフルーツとのコラボのお菓子が全国的に販売される様になり何故かと考えると、うるち米やもち米、豆類などは素材本来の味を邪魔せず引き立てる役割をするおかげで、美味しいお菓子が出来るのだと思います。全国の農家の皆様の努力が和菓子屋を支えている事に日々感謝をして居ります。と話していました。

季節の上生菓子

 喜久屋さんでは国産の美味しい果物を生かした和菓子を多く販売していて、一月から四月初旬までは大粒の苺を白あんで包みさらに求肥で包んだ「いちご餅」や四月中旬から五月五日までの期間限定で販売する柏餅は菓子組合で考案しました。大きな苺を新粉のお餅でふんわり包み込んだ「男のかしわ餅」で最初はユニークな菓名にお客様も戸惑っていたそうですが徐々にその美味しさを求めて買いに来るお客様が増え、今では定番商品の仲間入りになりました。販促に必要なポスターや幟も組合が準備してくれて大きな力になっているそうです。

喜久屋

 でも忘れてはいけないのが季節の上生菓子ではないでしょうか。1年を通して日本の四季を表すことができる最高の日本の文化。今年度、登録無形文化財として認可されたことで上生菓子を作る息子さんも意気揚々と仕事に邁進していました。益々の活躍を祈っております。

 神奈川県菓子工業組合広報部・中山尚子

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