各地の菓子店探訪
高知県菓子店の投稿

福留菊水堂

ドラマ"らんまん"の放映・経済効果

百合羊羹

 今年4月からNHKの連続テレビ小説〝らんまん〟の放送が始まりました。高知県出身の植物分類学者牧野富太郎博士の波乱に富んだ人生がモデルになっています。生まれは幕末の文久2年。高知県佐川町の裕福な酒造りの商家に生まれ、慶応を経て明治6年の11歳のころには西洋諸学科を学び英語学校の生徒となって学んだそうです。明治9年ごろから植物採集に興味を持ち、植物の名前を覚え、地元の実家周辺の野山や横倉山などで植物を採って観察し図に描き、わからないことがあれば書籍やあらゆる人から学び独学の姿勢を貫きました。明治、大正、昭和と94歳で没するまで、全国都道府県に採集しに出かけ未知の植物に学名を付け発表。フィールドワークで採集した「押し葉標本」は生涯40万点以上と言われております。生涯にわたり、牧野博士にとっては「自然そのものが学びの場」であったように思われます。

百合羊羹包装

 永々と述べましたが、〝らんまん〟の放送の効果もあってあるお菓子屋さんが注目を浴びています。牧野博士は〝お酒〟はほとんど飲まず甘党だったとの話で、昭和の初めに「百合(ゆり)羊羹」をよく食べたと記されています。これがブームになり、この「ユリ根の羊羹」を引き継いで製造販売されている福留菊水堂さんへお伺いし社長の福留章夫氏にお話を聞かせていただきました。福留氏は「初代私の父(栄氏)が、今はありませんが「旧中山菊水堂」というお菓子屋で職人として働いていました。そして「のれんわけ」というかたちで菊水堂の屋号をいただき、「百合羊羹」等の製造を引き継がせていただいて今現在も手造りで製造しています。新聞誌上等でこのことを取り上げられ注文が多く入り嬉しい悲鳴を上げています」との事。らんまん効果は業界には良い方向に向かっているようです。

 また牧野博士の出身地佐川町も4月頃は「桜餅」等のお菓子が訪れた観光客や町民に大いに売れたと聞いております。地場産品や我々地元菓子業界もこれを機会に景気が上向きになれば…と期待しています。

 高知県菓子工業組合事務局・森下広和


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